夏蚕時なつこどき
午過ぎてから梅雨雲が切れて薄い陽が照りはじめた。雨上りの泥濘道を学校帰りの子供達が群れて来た。森田部落の子供達だ。 山の角を一つ廻ると、ゴトゴト鳴いてゐた蛙の声がばったり熄んだ。一人の子がいきなり裾をからげて田の中へ入った。そしてヂャブヂャ …