無題Ⅰむだいいち
太陽はもう山の向うに落ちてしまつたが、まだあたりは明るかつた。 さつきから余念もなくざぶざぶと除草器を押してゐた仁作は、東手の畦につくと、ほつと一息ついて立停つた。さすがに、体はもうぐつたりと疲れ切つてゐた。彼は水田の中に立つたまま、腰から …