蠧魚しみ)” の例文
するといくらか気が静まって来て、小粒に光りながらゆるんだ綴目の穴から出て本の背の角をってさまよう蠧魚しみ行衛ゆくえに瞳をとらえられ思わずそこへうずくまった。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
通常、必然と呼ばれる、運命と見えるものによってかれらは、古い書物にあるとおり、蠧魚しみ喰いびくさり盗人ぬすびとうがちてもち去る財宝をたくわえることに従事しているのである。
蠧魚しみに食われ、塵埃におおわれて
刹那せつな』の蠧魚しみを。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)