嗜味しみ)” の例文
今にもまんずるはいの断えず口もとにさまよえるとは、いうべからざる愛嬌あいきょう滑稽こっけい嗜味しみをば著しく描きいだしぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
秀江の肉体の一部が嗜味しみをそそる食品のように、なまなましく見えたりした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
浪子は実家さとにありけるころより、口にいわねどひそかにその継母のよろず洋風にさばさばとせるをあきたらず思いて、一家の作法の上にはおのずから一種古風の嗜味しみを有せるなりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)