“雪消”の読み方と例文
読み方割合
ゆきげ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
平次が行つた時は道だけは泥濘ぬかるみをこね返してをりましたが、田圃も庭も雪に埋もれて、南庇みなみびさしから雪消ゆきげしづくがせはしく落ちてゐる風情でした。
あのつんとすまし、ぬけぬけと白膚を天にそびえ立たしている伯母の山が、これだけは拭えぬ心の染班しみのように雪消ゆきげの形に残す。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
村端れの溝に芹の葉一片ひとつ青んでゐないが、晴れた空はそことなく霞んで、雪消ゆきげの路の泥濘ぬかるみの處々乾きかゝつた上を、春めいた風が薄ら温かく吹いてゐた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)