“ばった”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:バッタ
語句割合
飛蝗22.2%
螇蚸18.5%
螽斯18.5%
14.8%
14.8%
阜斯3.7%
蝗虫3.7%
螽蟖3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たけのびた雑草の緑にまじって、萩だの女郎花おみなえしだの桔梗ききょうだのの、秋草の花が咲いている、飛蝗ばった螽蟖きりぎりす馬追うまおいなどが、花や葉を分けて飛びねている。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
元来、よほど以前に出来た建物なので、壁は雨と埃にまみれてドス黒く汚れ、窓硝子はさんざんに砕け落ちて、螇蚸ばった蟋蟀こおろぎの住家になっていた。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「おい、若いの。先刻さっきからいやに黙ってるじゃねえか。……乙に澄ますねえフェ・パ・マラン・トア、やい!」と、いきなりドア越しにコン吉の脇腹を小突こづいた。コン吉は螽斯ばったのように飛びあがって
妙子が缶をつまみ上げて床に投げ出すと、それに驚いたのか、ばったが一匹飛び出した。そして床の上をピョンピョン跳ねながら、通路の向うの端まで飛んで行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
半瓦は、そういうと、逃げかけるちんばの襟がみをつまんで、ばったでも叩きつけるように、空地の方へほうり出した。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
透綾すきやの羽織に白地のかすりを着て、安い麦稈むぎわらの帽子をかぶった清三の姿は、キリギリスが鳴いたり鈴虫がいい声をたてたり阜斯ばったが飛び立ったりする土手の草路くさみちを急いで歩いて行った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
生徒が砂地の上で相撲すもうをとったり、くさむらの中で阜斯ばったを追ったり、みぎわへ行って浅瀬でぼちゃぼちゃしたりしている間を、先生たちは涼しい松原の陰で、気のおけない話をしたり、新刊の雑誌を読んだり
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それからテルツリアヌスではないですか、幸福なる人々は星より星へ行くであろうと言ったのは。それもいいでしょう。人は星の蝗虫ばったになる。そしてそれから、神を見るであろう。アハハハ。
恰度ちょうど鷺太郎が、その横まで通りかかって行った時だ。テントの中から、妹らしい少女が、熱い砂の上を、螽蟖ばったのように跳ねながらやって来て
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)