ばった)” の例文
追剥おいはぎはヘタッと露の中に坐ってしまった。そして腹を抱えて笑いやまない李逵の姿を仰いで、米ツキばったみたいにお粗末な手をあわせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙子が缶をつまみ上げて床に投げ出すと、それに驚いたのか、ばったが一匹飛び出した。そして床の上をピョンピョン跳ねながら、通路の向うの端まで飛んで行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
馬と、兎と、狸とが議席に頑張っているほかに鶏も、牛も、豚も、雀も、猫も、鼠も、ばったも、そこにいることに気がついた。「豚に真珠を与うるなかれ」「猫に小判」ということはよく知っている。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
そこのかやむらから十名ほどの悪童が、ばったのように逃げだした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう言うて、ばったと鼠が感心している。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
それは気の早いばったであった。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)