椰子の樹やしのき
われらが故里の國の樹木は、すべて人間のやうに直立してゐて、しかも不動である。其根を土に突込んで、腕を廣げたままでゐる。ここはさうでない。靈木榕樹は單獨に聳えたつのではなく、多くの絲を吊下げて、地の胸を撫探し、宛も自ら築きたつ殿堂のやうだ。し …