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惘然
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ばうぜん
ふりがな文庫
“
惘然
(
ばうぜん
)” の例文
彼
(
かれ
)
には
庭
(
には
)
の
節制
(
だらし
)
のない
騷
(
さわ
)
ぎの
聲
(
こゑ
)
が
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
支配
(
しはい
)
するよりも
遠
(
とほ
)
く
且
(
かつ
)
遙
(
はるか
)
な
闇
(
やみ
)
に
何物
(
なにもの
)
をか
搜
(
さが
)
さうとしつゝあるやうに
只
(
たゞ
)
惘然
(
ばうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
谷間の
途極
(
ゆきとまり
)
にて
甕
(
かめ
)
に落たる
鼠
(
ねずみ
)
のごとくいかんともせんすべなく
惘然
(
ばうぜん
)
として
胷
(
むね
)
せまり、いかゞせんといふ
思案
(
しあん
)
さヘ出ざりき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
五六の人が
惘然
(
ばうぜん
)
とそれを眺め入つて居る所も、油繪のやうには見えないで、却つて古い縁起ものの繪卷物の一部を仕切つたやうに見えるのである。
京阪聞見録
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
私は此内面の争闘を
閲
(
けみ
)
した後に、
暫
(
しばら
)
くは
惘然
(
ばうぜん
)
としてゐたが、思量の均衡がやうやう
恢復
(
くわいふく
)
せられると共に、従来回抱してゐた
雪冤
(
せつゑん
)
の積極手段が、全く面目を改めて意識に上つて来た。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
宗助
(
そうすけ
)
はたゞ
惘然
(
ばうぜん
)
とした。
自己
(
じこ
)
の
根氣
(
こんき
)
と
精力
(
せいりよく
)
の
足
(
た
)
らない
事
(
こと
)
を
齒掻
(
はがゆ
)
く
思
(
おも
)
ふ
上
(
うへ
)
に、
夫程
(
それほど
)
歳月
(
さいげつ
)
を
掛
(
か
)
けなければ
成就
(
じやうじゆ
)
出來
(
でき
)
ないものなら、
自分
(
じぶん
)
は
何
(
なに
)
しに
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
迄
(
まで
)
遣
(
や
)
つて
來
(
き
)
たか、それからが
第
(
だい
)
一の
矛盾
(
むじゆん
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「
厭
(
や
)
だよう、おとつゝあに
打
(
ぶ
)
ん
擲
(
なぐ
)
られつから、おとつゝあ
勘辨
(
かんべん
)
してくろよう」と
歔欷
(
すゝりな
)
くやうな
假聲
(
こわいろ
)
が
更
(
さら
)
に
聞
(
きこ
)
えた。
惘然
(
ばうぜん
)
として
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た
凡
(
すべ
)
てがどよめいた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
惘然
(
ばうぜん
)
と不可思議の眼を
睜
(
みは
)
つて、かの未だ知らざる情緒海のあなたを眺め入るやうに見えた。
京阪聞見録
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
惘然
(
ばうぜん
)
として
自失
(
じしつ
)
して
居
(
ゐ
)
た
卯平
(
うへい
)
は
藁
(
わら
)
の
火
(
ひ
)
を
浴
(
あ
)
びた。
彼
(
かれ
)
は
慌
(
あわ
)
てゝ
戸口
(
とぐち
)
へ
遁
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した
時
(
とき
)
火
(
ひ
)
は
既
(
すで
)
に
赤
(
あか
)
い
天井
(
てんじやう
)
を
造
(
つく
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
煙
(
けぶり
)
は四
方
(
はう
)
から
檐
(
のき
)
を
傳
(
つた
)
ひてむく/\と
奔
(
はし
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
“惘然”の意味
《名詞》
呆気にとられ唖然とするさま。
(出典:Wiktionary)
惘
漢検1級
部首:⼼
11画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“惘然”で始まる語句
惘然自失