朦乎ぼんやり)” の例文
歌にれて障子の影法師が踊る。妙な手付をして、腰を振り、足を動かす。或は大きく朦乎ぼんやりと映り、或は小く分明はつきりと映る。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
れいのビールだる船長せんちやう此時このときわたくし頭上づじやうあた船橋せんけううへつて、しきりにあやしふね方向ほうかう見詰みつめてつたが、先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ、途方とほうことつてつたものゝ
其麽そんな事は無い! と否み乍らも、何がなしに、若しや、若しや、といふ朦乎ぼんやりした期待が、その通り路を去らしめなかつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
後檣縱帆架ガーフひるがへはたは、まだ朦乎ぼんやりとして、何國いづこ軍艦ぐんかんともわからぬが、いまや、團々だん/\たる黒煙こくゑんきつゝ、なみ蹴立けたてゝ輕氣球けいきゝゆう飛揚ひやうせる方角ほうがく進航しんかうしてるのであつた。此時このときわたくしきふ一策いつさくあんじた。
其麽そんな事は無い! といなみ乍らも、何がなしに、若しや、若しや、といふ朦乎ぼんやりした期待のぞみが、その通路とほりみちを去らしめなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
三日、四日と少しは慣れたものの、腹に一物も無くなつては、「考へて見れば目的めあての無い旅だ!」と言つた様な、朦乎ぼんやりした悲哀かなしみが、粘々ねばねばした唾と共に湧いた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
三日、四日と少しは慣れたものゝ、腹に一物も無くなつては、「考へて見れば目的の無い旅だ!」と言つたやうな、朦乎ぼんやりした悲哀が、粘々ねば/\した唾と共に湧いた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
或は大きく朦乎ぼんやりと映り、或は小く分明はつきりと映る。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)