糢糊ぼんやり)” の例文
ただは坐ッていられぬように、そして柱に懸けた薄暗い姿見にむかい、糢糊ぼんやり写るおのが笑顔をのぞき込んで、あやすような真似をして、片足浮かせて床の上でぐるりと回り
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
扉は壞れて中には枯松葉が散つてゐるだけで、神體はなかつた。其處からは曲りくねつた海を越し山を越して、四國の屋島や五劒山が幽かに見えるのだが、今日は光が煙つて海の向うは糢糊ぼんやりしてゐた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)