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漠然
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ぼんやり
ふりがな文庫
“
漠然
(
ぼんやり
)” の例文
第一かけた当人がわが
妻
(
さい
)
であるという事さえ
覚
(
さと
)
らずにこちらからあなたという敬語を何遍か繰返したくらい
漠然
(
ぼんやり
)
した電話であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
釘抜藤吉は、
漠然
(
ぼんやり
)
とだが、いつも、こんなようなことを考えていた。岡っ引藤吉の、岡っ引らしい、これが、唯一の持論だったと言っていい。
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
時としては
彼
(
あ
)
のつつましさうに物言ふ声を、時としては彼の
口唇
(
くちびる
)
にあらはれる若々しい
微笑
(
ほゝゑみ
)
を——あゝ、あゝ、記憶ほど
漠然
(
ぼんやり
)
したものは無い。今、思ひ出す。今、消えて了ふ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
島
(
しま
)
の
一周
(
いつしう
)
といつて、
此
(
この
)
島
(
しま
)
はどの
位
(
くら
)
い
廣
(
ひろ
)
いものやら、また
道中
(
だうちう
)
に
如何
(
いか
)
なる
危險
(
きけん
)
があるかも
分
(
わか
)
らぬが、
此處
(
こゝ
)
に
漠然
(
ぼんやり
)
として
居
(
を
)
つて、
島
(
しま
)
の
素性
(
すじやう
)
も
分
(
わか
)
らず
氣味惡
(
きみわる
)
く
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
すよりは
勝
(
まし
)
だと
考
(
かんが
)
へたので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
明鏡のようにくもりのないおつるの心眼には、泰軒の大きさが、
漠然
(
ぼんやり
)
ながらそのままに映ったのかも知れぬ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
戸外
(
そと
)
の模様は分りようがない。しかし暗くって
湿
(
しめ
)
ッぽい空気が
障子
(
しょうじ
)
の紙を
透
(
こ
)
して、一面に
囲炉裏
(
いろり
)
の
周囲
(
まわり
)
を
襲
(
おそ
)
って来た。並んでいる十四五人の顔がしだいしだいに
漠然
(
ぼんやり
)
する。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“漠然”の意味
《名詞》
漠然(ばくぜん)
ぼんやりしてはっきりしないこと。具体的でないこと。また、そのようなさま。漫然。
広くて果てしないさま。
(出典:Wiktionary)
漠
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“漠”で始まる語句
漠
漠々
漠北
漠野
漠南
漠漠
漠焉
漠々然
漠々濛々