おぼろげ)” の例文
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかまに、小波さざなみ寄するかすかな響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震どうぶるいをして、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)