“河心”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かしん66.7%
かわなか33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
船はまた大江たいこう河心かしんに出る。石船の帆が白く、時に薄い、紫の影の層をはらんで、光りつつ輝きつつ下をまた真近を、群れつつ、離れつつ去来する。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
河舟かわぶねの小さなのが岸につないであった。豊吉はこれに飛び乗るや、ともづなを解いて、みざおを立てた。昔の河遊びの手練しゅれんがまだのこっていて、船はするすると河心かしんに出た。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ましてつつましいその時代の女たちの困りようは察しられる。岸近い船はわたりをかけて、尾上河岸おのえがしあたりのいきな家にたのむが、河心かわなかのはそうはいかない。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
また途切とぎれがちな爪弾つまびき小唄こうたは見えざる河心かわなか水底みなそこ深くざぶりと打込む夜網の音にさえぎられると、厳重な御蔵おくらの構内に響き渡る夜廻りの拍子木が夏とはいいながらも早や初更しょこうに近い露の冷さに
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)