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包
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つつ
ふりがな文庫
“
包
(
つつ
)” の例文
ある日などはチュンセがくるみの木にのぼって青い
実
(
み
)
を
落
(
おと
)
していましたら、ポーセが小さな
卵形
(
たまごがた
)
のあたまをぬれたハンケチで
包
(
つつ
)
んで
手紙 四
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
男
(
おとこ
)
は、
家
(
いえ
)
に
帰
(
かえ
)
り、
今度
(
こんど
)
は、
失敗
(
しっぱい
)
をしないつもりで、
手
(
て
)
の
欠
(
か
)
けた
仏像
(
ぶつぞう
)
をふろしきに
包
(
つつ
)
んで、
村
(
むら
)
の
金持
(
かねも
)
ちのところへ
持
(
も
)
って
出
(
で
)
かけました。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そんな
素直
(
すなお
)
な
考
(
かんが
)
えも
心
(
こころ
)
のどこかに
囁
(
ささや
)
かないでもなかったのですが、
次
(
つ
)
ぎの
瞬間
(
しゅんかん
)
には
例
(
れい
)
の
負
(
ま
)
けぎらいが
私
(
わたくし
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
包
(
つつ
)
んで
了
(
しま
)
うのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あたしゃ今こそお
前
(
まえ
)
に、
精根
(
せいこん
)
をつくしたお
化粧
(
けしょう
)
を、してあげとうござんす。——
紅白粉
(
べにおしろい
)
は、
家
(
いえ
)
を
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
袱紗
(
ふくさ
)
に
包
(
つつ
)
んで
持
(
も
)
って
来
(
き
)
ました。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
驚きと恐れと一つにしたような異様の叫び声が、人々の口を
衝
(
つ
)
いて出た。風呂敷に
包
(
つつ
)
まれた物というのは、白い新しい
経帷子
(
きょうかたびら
)
であった。
経帷子の秘密
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
シューラはおいおい
泣
(
な
)
いた。あたりのものがばら
色
(
いろ
)
の
靄
(
もや
)
に
包
(
つつ
)
まれて、ふわふわ
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
した。もの
狂
(
くる
)
おしい
屈辱感
(
くつじょくかん
)
に気が
遠
(
とお
)
くなったのだ。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
とひょいと立つと、
端折
(
はしょ
)
った
太脛
(
ふくらはぎ
)
の
包
(
つつ
)
ましい
見得
(
みえ
)
ものう、ト身を返して、
背後
(
うしろ
)
を見せて、つかつかと
摺足
(
すりあし
)
して、奥の
方
(
かた
)
へ駈込みながら
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丁坊の身体を
包
(
つつ
)
んだゴム袋の中に、無線電話機が入っているというのだ。もちろん丁坊も知らなければ、隊長大月大佐もこれを知らない。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
テーブルクロスの
包
(
つつ
)
みのほうは、とちゅうで
透明人間
(
とうめいにんげん
)
の気がかわり、ブランブルハーストをでたところの
松林
(
まつばやし
)
ですててしまったのである。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
母の後ろからすこしはなれて、フランスの
百姓
(
ひゃくしょう
)
女のようなふうをした
婦人
(
ふじん
)
が、白いむつき(おむつ)に
包
(
つつ
)
まれた赤子をだいてついて来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
四
月
(
つき
)
すると、
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずえ
)
が
青葉
(
あおば
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
枝
(
えだ
)
と
枝
(
えだ
)
が
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
って、
小鳥
(
ことり
)
は
森
(
もり
)
に
谺
(
こだま
)
を
起
(
お
)
こして、
木
(
き
)
の
上
(
うえ
)
の
花
(
はな
)
を
散
(
ち
)
らすくらいに、
歌
(
うた
)
い
出
(
だ
)
しました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
ところが、下女は今まで
包
(
つつ
)
ましくしていたのが、次第にお化粧をする、派手な着物を着る。なんとなく人の目に立つ。宮沢は気が気でない。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
平生
包
(
つつ
)
み
蔵
(
かく
)
しているお延の利かない
気性
(
きしょう
)
が、しだいに
鋒鋩
(
ほうぼう
)
を
露
(
あら
)
わして来た。おとなしい継子はそのたびに少しずつ
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがに
隱
(
かく
)
しきれもせずに、
夫
(
をつと
)
がてれ
臭
(
くさ
)
い
顏附
(
かほつき
)
でその
壁掛
(
かべかけ
)
の
包
(
つつ
)
みを
解
(
ほど
)
くと、
案
(
あん
)
の
條
(
でう
)
妻
(
つま
)
は
非難
(
ひなん
)
の
眼
(
め
)
を
向
(
む
)
けながらさう
言
(
い
)
つた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
ズル/\ツと
扱出
(
こきだ
)
したは
御納戸
(
おなんど
)
だか
紫
(
むらさき
)
だか
色気
(
いろけ
)
も
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつた
古
(
ふる
)
い
胴巻
(
どうまき
)
やうな
物
(
もの
)
を
取出
(
とりだ
)
しクツ/\と
扱
(
こ
)
くと
中
(
なか
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
に
包
(
つつ
)
んだ
塊
(
かたまり
)
が
出
(
で
)
ました。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おとうさんはやっと
座
(
すわ
)
って、お
茶
(
ちゃ
)
を一
杯
(
ぱい
)
のむ
暇
(
ひま
)
もないうちに、
包
(
つつ
)
みの中から
細長
(
ほそなが
)
い
箱
(
はこ
)
を
出
(
だ
)
して、にこにこしながら
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
やりたくても無い時があり、あってもやりたくない時があり、
二拍子
(
ふたひょうし
)
揃
(
そろ
)
って都合よくやる時もあり、ふかし
甘藷
(
いも
)
二三本新聞紙に
包
(
つつ
)
んで御免を蒙る場合もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうして、さらにさらに大きなかげで
包
(
つつ
)
んでしまうのは、いつのまにか軍用船となって、どこの海を走っているかさえ分からぬ大吉たちの父親のことである。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
妾の
容子
(
ようす
)
の常になく
包
(
つつ
)
ましげなるに、顔色さえ
悪
(
あ
)
しかりしを、
親
(
した
)
しめる女囚に
怪
(
あや
)
しまれて、しばしば問われて、秘めおくによしなく、
遂
(
つい
)
に事
云々
(
しかじか
)
と告げけるに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
物に由りて或は
串
(
くし
)
に
差
(
さ
)
されて燒かれしも有るべく或は
草木
(
くさき
)
の葉に
包
(
つつ
)
まれて熱灰に
埋
(
うづ
)
められしも有るべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
おふくろは
色消
(
いろけ
)
しに
包
(
つつ
)
むで置くべきボロまで管はずぶちまけと、お房は
遉
(
さすが
)
に顏を
赧
(
あから
)
めて注意を加へた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
窓の外には、すがすがしい新緑に
包
(
つつ
)
まれた
湘南
(
しょうなん
)
の山野が、麗かな五月の陽光を浴びながら、まるで蓄音機のレコードのように、グルグルと際限もなく展開されて行く。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
また武蔵野の
味
(
あじ
)
を知るにはその野から富士山、秩父山脈
国府台
(
こうのだい
)
等を眺めた考えのみでなく、またその中央に
包
(
つつ
)
まれている首府東京をふり
顧
(
かえ
)
った考えで眺めねばならぬ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「あれッ、そのふところに見えます
金入
(
かねい
)
れが、たしかに、わたしの持っていた
包
(
つつ
)
みでございます」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この弱点に打ち
克
(
か
)
たんか、あるいはこれを
包
(
つつ
)
まんとするは、むしろ
褒
(
ほ
)
むべき努力であって、その人が果たして包みきれるか制しきれるかは別問題とし、ともかく
己
(
おの
)
れの弱点を意識し
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
が、
家宅捜索
(
かたくそうさく
)
をすると、
時価
(
じか
)
概算
(
がいさん
)
一
億円
(
おくえん
)
に
相当
(
そうとう
)
する
金塊
(
きんかい
)
、
白金
(
はくきん
)
、その
他
(
た
)
の
地金
(
ぢがね
)
が
居室
(
きょしつ
)
の
床下
(
ゆかした
)
から
発見
(
はっけん
)
されたため、ついに
包
(
つつ
)
みきれずして、
刈谷音吉
(
かりやおときち
)
毒殺
(
どくさつ
)
のてんまつを
自供
(
じきょう
)
するに
到
(
いた
)
つた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
その伺つていた賤の男がその玉を乞い取つて、常に
包
(
つつ
)
んで腰につけておりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
しかも
垢
(
あか
)
じみた
萌黄色
(
もえぎいろ
)
の
毛絲
(
けいと
)
の
襟卷
(
えりまき
)
がだらりと
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
つた
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
には、
大
(
おほ
)
きな
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みがあつた。その
又
(
また
)
包
(
つつ
)
みを
抱
(
だ
)
いた
霜燒
(
しもや
)
けの
手
(
て
)
の
中
(
なか
)
には、三
等
(
とう
)
の
赤切符
(
あかぎつぷ
)
が
大事
(
だいじ
)
さうにしつかり
握
(
にぎ
)
られてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
少年は、朝からなんべんも、
板
(
いた
)
でできた
寝床
(
ねどこ
)
のほうへ行ってみた。そこには、まるでせんべいのようにうすい下じきをしいて、何かの
包
(
つつ
)
みをまくらのかわりにあてて、
病気
(
びょうき
)
のおかあさんが寝ている。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
けふのお弁当は何んぢや これはノリで
包
(
つつ
)
んだおにぎりぢやなあ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
林を
包
(
つつ
)
めり
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
おとなしい新らしい白、
緑
(
みどり
)
の中だから、そして外光の中だから大へんいいんだ。
天竺木綿
(
てんじくもめん
)
、その
菓子
(
かし
)
の
包
(
つつ
)
みは
置
(
お
)
いて行ってもいい。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ある
日
(
ひ
)
のこと、
彼女
(
かのじょ
)
は、いつか
赤
(
あか
)
い
紙
(
かみ
)
に
石
(
いし
)
を
包
(
つつ
)
んで
投
(
な
)
げた
岩
(
いわ
)
の
上
(
うえ
)
にきて、
海
(
うみ
)
を
望
(
のぞ
)
みながら、
神
(
かみ
)
さまに
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
わせて、
静
(
しず
)
かに
祈
(
いの
)
りました。
夕焼け物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
坊主
(
ぼうず
)
は、たてつけの
悪
(
わる
)
い
雨戸
(
あまど
)
を
開
(
あ
)
けて、ぺこりと一つ
頭
(
あたま
)
をさげた。そこには
頭巾
(
ずきん
)
で
顔
(
かお
)
を
包
(
つつ
)
んだおせんが、
傘
(
かさ
)
を
肩
(
かた
)
にして
立
(
た
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
かれは
黒馬旅館
(
くろうまりょかん
)
でうばってきた
衣類
(
いるい
)
と、
研究
(
けんきゅう
)
ノートの
包
(
つつ
)
みをトーマスにもたせ、どこへゆこうとしているのか、しきりに先をいそいでいた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
一つの
姿
(
すがた
)
から
他
(
た
)
の
姿
(
すがた
)
に
移
(
うつ
)
り
変
(
かわ
)
ることの
迅
(
はや
)
さは、
到底
(
とうてい
)
造
(
つく
)
り
附
(
つ
)
けの
肉体
(
にくたい
)
で
包
(
つつ
)
まれた、
地上
(
ちじょう
)
の
人間
(
にんげん
)
の
想像
(
そうぞう
)
の
限
(
かぎ
)
りではございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
このときからわたしは
我知
(
われし
)
らずかの女を、なにか後光に
包
(
つつ
)
まれた人間
以上
(
いじょう
)
のものに思うようになり、それが白い大きなつばさをしょってはいないで
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それからフランスの飛行機に乗って
上海
(
シャンハイ
)
へ飛んだ。そのとき親子は、小ざっぱりとした背広に身を
包
(
つつ
)
んでいた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
余は
鶏柵内
(
けいさくない
)
のミズクサの木の根を深く掘って、
薦
(
こも
)
に
包
(
つつ
)
んだまゝ眠った様なデカの死骸を
葬
(
ほうむ
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
藪
(
やぶ
)
の上へまっさきについたのは、いうまでもなくコトエだった。コトエはそこで、草むらに学校の
包
(
つつ
)
みをかくして、みんなをまった。吉次とソンキが先をあらそうように走ってきた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そしてその中へ、川の石に
塩
(
しお
)
をふりかけて、それを
竹
(
たけ
)
の
葉
(
は
)
に
包
(
つつ
)
んだものを
入
(
い
)
れて
春山秋山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一つは彼の
安堵
(
あんど
)
であった。困ったという心持と、助かったという心持が、
包
(
つつ
)
み
蔵
(
かく
)
す余裕のないうちに、一度に彼の顔に出た。そうしてそれが突然入って来たお延の予期とぴたりと一致した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
するとマリちゃんは、
自分
(
じぶん
)
の
箪笥
(
たんす
)
へ
行
(
い
)
って、一
番
(
ばん
)
下
(
した
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
から、一
番
(
ばん
)
上等
(
じょうとう
)
の
絹
(
きぬ
)
の
手巾
(
はんけち
)
を
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
て、
食卓
(
テーブル
)
の
下
(
した
)
の
骨
(
ほね
)
を、一つ
残
(
のこ
)
らず
拾
(
ひろ
)
い
上
(
あ
)
げて、
手巾
(
はんけち
)
へ
包
(
つつ
)
み、
泣
(
な
)
きながら、
戸外
(
おもて
)
へ
持
(
も
)
って
行
(
ゆ
)
きました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
すなわち
武田伊那丸
(
たけだいなまる
)
は、
眉目
(
びもく
)
をあさく
藺笠
(
いがさ
)
にかくし、
浮織琥珀
(
うきおりこはく
)
の
膝行袴
(
たっつけ
)
に、肩からななめへ
武者結
(
むしゃむす
)
びの
包
(
つつ
)
みをかけ、
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
は
白衣白鞘
(
びゃくえしらさや
)
のいつもの
風姿
(
なり
)
、また
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
もありのままな
雲水
(
うんすい
)
すがた
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お母さんは、
曲
(
ま
)
げ
物
(
もの
)
の二つの
櫃
(
ひつ
)
と、
達二
(
たつじ
)
の小さな
弁当
(
べんとう
)
とを紙にくるんで、それをみんな
一緒
(
いっしょ
)
に大きな
布
(
ぬの
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
に
包
(
つつ
)
み
込
(
こ
)
みました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あとから、
雷
(
かみなり
)
の
音
(
おと
)
が
追
(
お
)
いかけるようにきこえたのです。ふり
向
(
む
)
くと、もはや
野原
(
のはら
)
のかなたは、うず
巻
(
ま
)
く
黒雲
(
くろくも
)
のうちに
包
(
つつ
)
まれていました。
曠野
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
シルクハットをかぶり、大きな
包
(
つつ
)
みをかかえたおかしな人かげは、風のように
街路
(
がいろ
)
をかけぬけ、
街
(
まち
)
かどをまがって
丘
(
おか
)
へむかって走っていった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
その
中
(
うち
)
、
空
(
そら
)
が
真暗
(
まっくら
)
くなって、あたりの
山々
(
やまやま
)
が
篠突
(
しのつ
)
くような
猛雨
(
もうう
)
の
為
(
た
)
めに
白
(
しろ
)
く
包
(
つつ
)
まれる……ただそれきりのことに
過
(
す
)
ぎませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
欝金
(
うこん
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
に
包
(
つつ
)
んで、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うえ
)
に
確
(
しっか
)
と
抱
(
かか
)
えたのは、
亭主
(
ていしゅ
)
の
松江
(
しょうこう
)
が
今度
(
こんど
)
森田屋
(
もりたや
)
のおせんの
狂言
(
きょうげん
)
を
上演
(
じょうえん
)
するについて、
春信
(
はるのぶ
)
の
家
(
いえ
)
へ
日参
(
にっさん
)
して
借
(
か
)
りて
来
(
き
)
た
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
包
常用漢字
小4
部首:⼓
5画
“包”を含む語句
風呂敷包
引包
紙包
一包
黄包車
上包
包物
金包
莚包
袱紗包
小包
菰包
二包
皮包
押包
藁包
竹皮包
革包
麺包
包囲
...