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つつ
ふりがな文庫
“
虔
(
つつ
)” の例文
すると突然、私のうちに誰にともつかない怒りがこみ上げてきた。しかし私はいかにも
虔
(
つつ
)
ましそうにスウプの
匙
(
さじ
)
を動かしていた。……
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
第一日は室内の整理やら、入浴やら、何かとそわそわとして暮れてしまったし、明るい食堂の晩餐をも
虔
(
つつ
)
ましく片隅に寄って済ました。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そうして、そばに
虔
(
つつ
)
ましやかにほほえんでいるチャンバアス夫人をかえりみて、小野さんはひどく紳士的口調の英語に取りかえた。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
しゃしゃり出るお勝、清左衛門に手厳しくやられて、
虔
(
つつ
)
ましく塗り隠した野性が弾き出されたのでしょう、今にも飛びかかりそうな気込みです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれどその眼も、たつた一ぺんだけ視線を合はせたことがありますが、こちらがハッとした次の瞬間には、
虔
(
つつ
)
ましく地に伏せられてをりました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
私たちの思索、なやみ、実践への方向は少なくとも人生の最高のものを、最も
虔
(
つつ
)
ましい態度において志向していた。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
彼はつとめて
虔
(
つつ
)
ましく、彼自身や、または同様の運命にあるであろう幾多の青年の、無名の画家の話をした。
自殺を買う話
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
一大事思い立ちたる事由を
審
(
つぶ
)
さに述べたるのち、
虔
(
つつ
)
ましく居ずまいを正し
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
誰にもわかり易い言葉でわかり易く
虔
(
つつ
)
ましやかに語られてある。
愛の詩集:03 愛の詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
虔
(
つつ
)
しみ合い労わり合っているのもいじらしかった。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
すると突然、私のうちに誰にともつかない怒りがこみ上げてきた。しかし私はいかにも
虔
(
つつ
)
ましそうにスウプの
匙
(
さじ
)
を動かしていた。……
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そうして私たちの
虔
(
つつ
)
ましく取り囲んでいるこの卓子は、恐らく殿下の侍従たちの額が
恭々
(
うやうや
)
しく集められたことであろう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そんな調子で露払いをするガラッ八の後ろから平次は
虔
(
つつ
)
ましい顔を出して、初秋の陽の明るく当る
筵
(
むしろ
)
を
剥
(
は
)
ぎました。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日は暑かったが、校舎の内部はまだ生々しい木の香がぷんぷんと匂って、何か
虔
(
つつ
)
ましい旅愁をさえ味わせられた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
虔
(
つつ
)
ましく壇の上に立っただけで、会場の沸き返る空気を支配し、一瞬、水を打ったように静まり返ります。
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕は
漸
(
ようや
)
く心がしずかになってから夢殿のなかへはいり、秘仏を拝し、そこを出ると、再び板がこいの傍をとおって、いかにも
虔
(
つつ
)
ましげに、中宮寺の観音を拝しにいった。——
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼は聖水を戴いて、
虔
(
つつ
)
ましく十字を切り、そのまま教会を出ていってしまうのである。……
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
今八郎はそう言い乍ら、前列に
虔
(
つつ
)
ましく腰をおろした、一人の婦人を促しました。そして
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
虔
(
つつ
)
ましきミレエが
画
(
ゑ
)
に似る夕あかり
種蒔人
(
たねまき
)
そろうて身をかがめたり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
誰にもわかり易い言葉でわかり易く
虔
(
つつ
)
ましやかに語られてある。
愛の詩集:02 愛の詩集のはじめに
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お品は
虔
(
つつ
)
ましく口を
容
(
い
)
れました。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大きなる正覚坊が
虔
(
つつ
)
ましくねぶり目ざめて
眼
(
め
)
ひらくあはれ
真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ある時は遠眼鏡もて
虔
(
つつ
)
ましくあそぶ千鳥を
凝視
(
みつ
)
めてあるも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何といふ
虔
(
つつ
)
ましさぞよあかあかと青木一本日に燃えてゐる
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
虔
(
つつ
)
ましき
一時
(
ひととき
)
、墓場は何かを感ず
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
珠数かけ鳩の
虔
(
つつ
)
ましさ
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
虔
漢検1級
部首:⾌
10画
“虔”を含む語句
敬虔
虔十
呂虔
不虔
敬虔主義
敬虔摯実
敬虔雄麗
梁虔
盧虔
真虔
祗虔
祗虔主義
虔敬
諸葛虔
雨期虔