“かや”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カヤ
語句割合
蚊帳49.5%
15.6%
14.7%
9.6%
蚊遣3.6%
蚊屋1.6%
茅萱0.5%
萱草0.5%
蚊幮0.5%
0.5%
(他:17)3.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ほんを売るか、蚊帳かやでも質に入れたくらいな小遣いで、泳ぎに来た連中である。庄次郎が、無一文だと聞くと、おぞ気をふるッて、逃げだした。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道阿弥の首を賞翫しょうがんしながら、若夫婦が蚊帳かやの中の寝床でさかずきの遣り取りをするのも、草双紙の趣向にもありそうなことである。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
道阿弥の首を賞翫しょうがんしながら、若夫婦が蚊帳かやの中の寝床でさかずきの遣り取りをするのも、草双紙の趣向にもありそうなことである。
一同の緊張がいよいよ増して、昨日二人の分け入っていったあのかやや、すすきちがやなぞの胸までおおうた細い山道にかかります。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
いばらやかやの為めに傷ついた足や手から血を流してゐる事も知らぬらしく夢中によろ/\と歩いてゐる彼の姿はさながら夢遊病者のやうであつた。
九州地方の刈しめの場合でも、かやの二三本を一尺おきに畑のめぐりに立てたところで、それを倒して猪・鹿が、入り込むのは何でもないことだ。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
韓の家から十里ほどの南に古い墓があって、馬の跡はそこに止まっているので、彼はそこにかやの小家を急造して、そのなかに忍んでいることにした。
蓬やかやを大分刈り取って下敷にしたが、体が痛んで、それに黒部に入って初めての野営であるから、目も冴えて、此夜はとうとう安眠されなかった。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
だがほんの遊戯と思召おぼしめして一つ御指南を仰ぎたいと守宮が答えて上の方の広場へ伴れ行き、サアあそこの樹幹にヴェロと言うかやが生えて居る
「番士。……蚊遣かやりが絶えた。またかや木屑きくずでもいてくれんか。生きているとは厄介なもの。この蚊攻めにもホトホトまいる」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本陣は 木曾のほうでは楢の実を豆にまぜて味噌をつくる とか 山奥へゆけばかや、はしばみ、ぶなの実もたべる などと話しながら先にたってゆく。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
その井桁に腰をかけて、暫くあたりを眺めてゐると、やがて向ふのかやか何かの繁みのかげから、黒い人影が一つあらはれて、ゆつくりと小径を歩いてゆく。
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
軒下の竹台に釘抜のように曲った両脚を投げ出した目明し藤吉、蚊遣かやりの煙を団扇うちわで追いながら、先刻さっきから、それとなく聴耳を立てている。
いたずらにかきをからみし夕顔の暮れ残るを見ながら白檀びゃくだんの切りくず蚊遣かやりにきて是も余徳とありがたかるこそおかしけれ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
寧子の耳には、まだ起きて話している両親の声が聞える。立ち迷うている間にふと縁先の蚊遣かやりの燃え残っているのが眼についた。彼女は蚊遣りのうつわを持って、
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高品さん夫妻にさえ話さず、売り残って半ば不用の本の詰った四つの本箱や、机や、やぶれ蒲団ぶとんや穴だらけの蚊屋かや
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
高く釣った蚊屋かやの中にしょんぼり坐っているのは年とった主婦で、乱れた髪に鉢巻をして重い病苦に悩むらしい。
やもり物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いつも子供が寝ると、自分も一しょに横になっているのが、その晩は据わって俯向うつむき加減になっていて、末造が蚊屋かやの中に這入って来たのを知っていながら、振り向いても見ない。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
金線草みづひき紫茉莉おしろいの色々、茅萱かや穂薄ほすすき露滋つゆしげ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あごで、指したあたりに、茅萱かや小径こみちの方へ、枯れながらなびいていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
夏蝶のひらひらと茅萱かやの上を飛んでいるのも涼しげな趣きに見えた。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一首の意は、あなたが今旅のやどりに仮小舎をお作りになっていらっしゃいますが、若し屋根葺く萱草かやが御不足なら、彼処あそこの小松の下の萱草をお刈りなさいませ、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
両側百戸足らずの家並いへなみの、十が九までは古い茅葺勝かやぶきがちで、屋根の上には百合や萱草かやや桔梗が生えた、昔の道中記にある渋民の宿場の跡がこれで、村人はたゞ町と呼んでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
無花果いちじくの下に萱草かやの咲きたるは心にとまらず。
わが幼時の美感 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
の少き土地とて蚊幮かやらねど、布団ふとん一つに枕二つ、こりや場所が違ひませうと、清二郎の出ようとするをとどめるは兼吉、胸のみしきりに騒がれて
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして単に薬餌やくじを給するのみでなく、夏は蚊幮かやおくり、冬は布団ふとんおくった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
蚊幮かやの外に小さく燃えているランプの光で、独寝ひとりねねやが寂しく見えている。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで上りかまちに腰をかけて懐中ふっくらからその貰うた指環をば出いて、てのひら中央まんなかへ乗せて、タメツ、スガメツ引っくりかやいておりますと、背後うしろからヌキ足さし足、覗いて見た親父おやじが、大きな拳骨で私の頭をゴツウ——ンと一つらわせました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
雛鶏ひなどり家鴨あひると羊肉の団子だんごとをしたぐし三本がしきりにかやされていて、のどかに燃ゆる火鉢ひばちからは、あぶり肉のうまそうなかおり、ちぢれた褐色とびいろの皮の上にほとばしる肉汁の香りが室内に漂うて人々の口に水をかしている。
糸くず (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
……十二万円ぐらいの事でここまで来はせん。……俺は五体中を火傷やけはたしたなり今朝けさ、製鉄所の病院で息を吹きかやいた。……それでヒョッと貴様が、昨夜ゆんべのうちに金を探し出いて、ここへ来はせんかと思うて、死ぬる思いで、暗いうちに病院を脱出ぬけだいて、塀を乗越いて、ここへ来たんだぞ。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
太田川を渡り二里太田駅。芳野屋庄左衛門の家に宿す。熱甚。しかれども風あり。此駅に到て蠅大に少し。蚊は多し。此夜かやを設く。行程七里きよ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
長塚節氏の『はりの如く』の中に「四日深更、月すさまじくえたり」という前書があって、「硝子戸を透してかやに月さしぬあはれといひて起きて見にけり」外二首の歌がある。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
上和田駅風越山信定寺しんぢやうじといふ禅寺のまもるところにして、寺後に信定の城墟あり、石塁今に存といふ。二里上和田の駅。比野屋又右衛門の家に宿す。(信定のこと主人の話なり。寺は余ゆいて見る。)此地蚊なし。かやを設ず。暑亦不甚はなはだしからず。行程六里許。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その顔の何という蒼白さであろう。これは、翠紗すいしゃ蚊㡡かやのせいでもない。燭のゆらぐ加減でもない。光秀の心のうちにあるものの色であり影であろう。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべてを片づけてから、夜の十時過になって、始めて蚊㡡かやの外まで来て、一言ひとこと見舞を云うのが常であった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
燭の影がことさら青く見えたわけは、光秀のまわりに翠紗すいしゃ蚊㡡かやが広くめぐっていたからであった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天平六年、新羅しらぎに遣はさるる使人等の一行は、ここ志賀の浦波に照りかへす月光を看て、遠くも来にける懐郷の涙をしぼり、志摩郡の唐泊からどまりより引津泊ひくつどまりに移り、可也かやの山べに小男鹿さをしかの声の呦々えう/\たるを聴き、次で肥前国狛しまに船をとどめたりしその夜の歌にいはく
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
早四郎は障子を開けたなと思っていますと、ぷつり/\と、吊ってありましたかや吊手つりてを切落し、寝ている上へフワリと乗ったようだから、
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早「ねぶったかね/\、お客さん眠ったかえ……居ねえか……約束だから来ただ、かやの中へひえってもいかえひえるよ、入っても宜いかえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここは淀川の北岸、山崎ノ郷。古くは、河陽かやの離宮やら江口神崎におとらぬ灯やら、関所もあった跡だという。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幸ひ、池の端かや町の江島屋良助の伜良太郎が、フトした折にお關を見染めた」
吾背子わがせこ仮廬かりほつくらすかやなくば小松こまつしたかやらさね 〔巻一・一一〕 中皇命
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
岡に寄せ我が刈るかや狭萎草さねがやのまことなごやろとへなかも (同・三四九九)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
森松「やアこれは/\何方どなたかと思ったら藤原様、どうも大層お立派で……おかや様も御一緒ですかうおいでゝございます」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここにすなはちその海邊の波限なぎさに、鵜の羽を葺草かやにして、産殿うぶやを造りき。
——夏は葭戸でもこしらえ、新しいきれいな蚊帖かやでもあげようと思います。
和漢の古書のみを研究して西洋日新の学を顧みず、いにしえを信じて疑わざりし者は、過ぎたる夏の景気を忘れずして冬の差入りに蚊帷かやを買い込むがごとし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼は眼を開けて時々蚊張かやの外に置いてある洋燈ランプを眺めた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次にヲザホの王は葛野かずのの別・近つ淡海の蚊野かやの別の祖先です。
細君は漸く體を動かし始めて、かやつた糊を拭き取つたり、飛び散つた文殼を纒めたりして、鼻を啜り上げながら其邊を片附け始める。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「奧さん雜巾は?」と三藏はかやつた糊皿を見て心配さうに細君の顏を見る。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
備中賀陽かやの良藤という者が、狐の女と婚姻して年久しくわが家の床下に住み、多くの児女を育てていたという話なども、昔の人には今よりも比較的信じやすかったものらしい。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)