萱草かや)” の例文
無花果いちじくの下に萱草かやの咲きたるは心にとまらず。ここに菊一うねありて、小菊ばかり植う。猿丸とは赤くて花の多くつく菊なり。
わが幼時の美感 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
両側百戸足らずの家並いへなみの、十が九までは古い茅葺勝かやぶきがちで、屋根の上には百合や萱草かやや桔梗が生えた、昔の道中記にある渋民の宿場の跡がこれで、村人はたゞ町と呼んでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一首の意は、あなたが今旅のやどりに仮小舎をお作りになっていらっしゃいますが、若し屋根葺く萱草かやが御不足なら、彼処あそこの小松の下の萱草をお刈りなさいませ、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)