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覆
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くつがへ
ふりがな文庫
“
覆
(
くつがへ
)” の例文
瀧
(
たき
)
を
覆
(
くつがへ
)
すやうで
小留
(
をやみ
)
もなく
家
(
うち
)
に
居
(
ゐ
)
ながら
皆
(
みんな
)
蓑笠
(
みのかさ
)
で
凌
(
しの
)
いだ
位
(
くらゐ
)
、
茅葺
(
かやぶき
)
の
繕
(
つくろひ
)
をすることは
扨置
(
さてお
)
いて、
表
(
おもて
)
の
戸
(
と
)
もあけられず、
内
(
うち
)
から
内
(
うち
)
、
隣同士
(
となりどうし
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その脊は
覆
(
くつがへ
)
りたる舟の如し。忽ち彼雛鷲は
電
(
いなづま
)
の撃つ勢もて、さと
卸
(
おろ
)
し來つ。
刃
(
やいば
)
の如き
利爪
(
とづめ
)
は魚の背を
攫
(
つか
)
みき。母鳥は喜、色に
形
(
あらは
)
れたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「お忘れあそばすな」と言ふさへに
力籠
(
ちからこも
)
りて、その
太股
(
ふともも
)
を
絶
(
したた
)
か
撮
(
つめ
)
れば、貫一は不意の痛に
覆
(
くつがへ
)
らんとするを支へつつ
横様
(
よこさま
)
に振払ふを、満枝は早くも身を開きて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
はためき渡りたる
其
(
その
)
刹那
(
せつな
)
に、
児
(
じ
)
の
初声
(
うぶごゑ
)
は
挙
(
あが
)
りて、
左
(
さ
)
しも
盆
(
ぼん
)
を
覆
(
くつがへ
)
さんばかりの
大雨
(
たいう
)
も
忽
(
たちま
)
ちにして
霽
(
は
)
れ
上
(
あが
)
りぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
暫くはさすがの
峨眉山
(
がびさん
)
も、
覆
(
くつがへ
)
るかと思ふ位でしたが、その内に耳をもつんざく程、大きな雷鳴が
轟
(
とどろ
)
いたと思ふと、空に渦巻いた黒雲の中から、まつ赤な一本の火柱が
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
けれども
勿論
(
もちろん
)
穩
(
おだや
)
かな
日和
(
ひより
)
ばかりは
續
(
つづ
)
きません、ある時は
烏
(
からす
)
が來て
折角
(
せつかく
)
生
(
は
)
えかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしい
嵐
(
あらし
)
があれて、
根柢
(
こんてい
)
から何も
彼
(
か
)
もを
覆
(
くつがへ
)
してしまひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
あなたのお飼ひになる小鳥の籠を
覆
(
くつがへ
)
すやうなことがあつても私の子は親の家を
逐
(
お
)
はれるでせう。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
江戸幕府を直接
覆
(
くつがへ
)
したものは、創業の家康が極度に恐れた
外様
(
とざま
)
の雄藩、強藩ではなくて、志士と呼ばれる下級武士の活躍であり、
大頭鯨
(
だいとうくじら
)
を追つて来た船を保護するために
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
嵐の如くいよ/\
酣
(
たけなは
)
にしていよ/\急激に、聞く人見る人、目も
眩
(
くら
)
み心も
覆
(
くつがへ
)
る
楽
(
がく
)
と
舞
(
まひ
)
、忽然として止む時はさながら美しき宝石の、砕け、飛び、散つたのを見る時の
心地
(
こゝち
)
に等しく
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
今日
(
こんにち
)
までの中途半端な生活を根から
覆
(
くつがへ
)
して、遠からず新規なものを始めたいと思ふ。私は他人に依つて衣食する腰掛の人間でなくて、
自
(
みづか
)
ら額に汗する労働者でなければ成らない。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
西
(
にし
)
も
東
(
ひがし
)
も
果
(
はて
)
しなき
大洋
(
たいやう
)
の
面
(
めん
)
では、
荒浪
(
あらなみ
)
騷
(
さわ
)
ぎ、
艇
(
てい
)
跳
(
をど
)
つて、とても
仔細
(
こま
)
かい
話
(
はなし
)
などは
出來
(
でき
)
ない、かく
言
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
も
巨濤
(
おほなみ
)
は、
舷
(
げん
)
に
碎
(
くだ
)
けて
艇
(
てい
)
覆
(
くつがへ
)
らんとす、
大尉
(
たいゐ
)
舵
(
ラタ
)
をば
右方
(
うほう
)
に
廻
(
まは
)
し、『
進
(
すゝめ
)
!。』の
一聲
(
いつせい
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
或はただ彼の目の前へだらしなく
展
(
ひろ
)
げられてゐるこの古い古い世界を、全然別箇のものにして見せるやうな、或はそれを全く根柢から
覆
(
くつがへ
)
してめちやめちやにするやうな、それは何でもいい
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
八百
(
やほ
)
よろづの神の
悪
(
にく
)
ませ給うて、神風を起して船を
覆
(
くつがへ
)
し給ふと聞く。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
海を雲へ竜巻き
騰
(
あが
)
る幾はしら
覆
(
くつがへ
)
る船は小さくゑがきつ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
覆
(
くつがへ
)
された坩堝。
熱情的なフーガ
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
間の堕落は間その人の死んだも同然、貴方は夫を持つて六年、なあ、水は
覆
(
くつがへ
)
つた。盆は破れて
了
(
しま
)
うたんじや。かう成つた上は
最早
(
もはや
)
神の力も
逮
(
およ
)
ぶことではない。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
我は尊き愛の膏油を地上に
覆
(
くつがへ
)
して、これを焚いて光を放ち熱を發せしむるに及ばざりき。こは濫用して人に
禍
(
わざはひ
)
せしならねど、遂に徒費して天に
背
(
そむ
)
きしことを免れず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
江戸幕府の内部的な矛盾が発展するに
伴
(
つ
)
れて、国学の大先輩たちも予期しなかつたほどの国民的な力と化して、七百年も続いた武家政治を根柢から
覆
(
くつがへ
)
すやうな偉力を発揮したのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
街々の祭提灯に火が
入
(
はい
)
るまでに私は三度程着物を着更へさせられた。行列の太鼓の音がほのかにすると家中の人が皆
欄干
(
てすり
)
の
処
(
ところ
)
に
集
(
あつま
)
る。この家が船であつたなら一方の重味で
覆
(
くつがへ
)
るであらう。
住吉祭
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
山
(
やま
)
を
覆
(
くつがへ
)
したやうに
大畝
(
おほうねり
)
が
來
(
き
)
たとばかりで、——
跣足
(
はだし
)
で
一文字
(
いちもんじ
)
に
引返
(
ひきかへ
)
したが、
吐息
(
といき
)
もならず——
寺
(
てら
)
の
門
(
もん
)
を
入
(
はひ
)
ると、
其處
(
そこ
)
まで
隙間
(
すきま
)
もなく
追縋
(
おひすが
)
つた、
灰汁
(
あく
)
を
覆
(
かへ
)
したやうな
海
(
うみ
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
背
(
せなか
)
から
放
(
はな
)
れて
去
(
い
)
つた。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
覆
(
くつがへ
)
されたる蜜蜂の大きなる
巣
(
す
)
激
(
はげ
)
しく
臭
(
にほ
)
ひ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鰐淵が
門
(
かど
)
の
燈
(
ともし
)
は
硝子
(
ガラス
)
を二面まで吹落されて、火は消え、ラムプは
覆
(
くつがへ
)
りたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
“覆”の解説
覆(ふく)(sa: mrakṣa、ムラクシャ)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
自己の誤ちの隠蔽。利益を失う・不利益を蒙ることを恐れて、自分が為した罪を隠すこと。
しかし、自分の為した罪を隠す人は、後に、必ず悔い悲しむ。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
覆
常用漢字
中学
部首:⾑
18画
“覆”を含む語句
顛覆
転覆
日覆
反覆
修覆
覆面
雨覆
轉覆
覆布
傾覆
打覆
覆被
押覆
引覆
覆奏
覆水
鞍覆
被覆
上覆
覆羽
...