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覆
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おほ
ふりがな文庫
“
覆
(
おほ
)” の例文
是等が黄色な灯で照されて居るのを私は云ひ知れない不安と恐怖の目で見て居るのであつた。終ひには兩手で顏を
覆
(
おほ
)
うてしまつた。
巴里まで
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
續いて、もう一と打、二た打、すさまじい稻光りが走ると、はためく大雷鳴、耳を
覆
(
おほ
)
ふ間もなく
篠突
(
しのつ
)
くやうな大夕立になりました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
児
(
こ
)
は母の
懐
(
ふところ
)
にあり、母の袖
児
(
こ
)
の
頭
(
かしら
)
を
覆
(
おほ
)
ひたれば
児
(
こ
)
は
身
(
み
)
に雪をば
触
(
ふれ
)
ざるゆゑにや
凍死
(
こゞえしな
)
ず、
両親
(
ふたおや
)
の
死骸
(
しがい
)
の中にて又
声
(
こゑ
)
をあげてなきけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
斯く爲しつつ空中の鳥を目掛けて
投
(
な
)
げる時は、
網
(
あみ
)
を以て之を
覆
(
おほ
)
ふと同樣、翼を
抑
(
おさ
)
へ体を
締
(
し
)
め
付
(
つ
)
け鳥をして
飛揚
(
ひやう
)
する事を得ざらしむ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
今度はわたしが手を替へて、優しく
下手
(
したで
)
に出た。すると娘はシク/\泣きだして
半巾
(
ハンカチ
)
で顔を
覆
(
おほ
)
つてばかりゐる。わたしは情けなくなつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
二人共
平生
(
へいぜい
)
の通りの樣子をしようと
努
(
つと
)
めた。しかし彼等が戰はねばならぬ悲しみは完全に征服され、または隱し
覆
(
おほ
)
はれるものではなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
紀朝臣清人
(
きのあそみきよひと
)
は、「天の下すでに
覆
(
おほ
)
ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか」(巻十七・三九二三)を作り、紀朝臣
男梶
(
おかじ
)
は
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
鼠色の服を着け
候
(
さふら
)
て、帽は黒の
羅
(
ら
)
を
覆
(
おほ
)
へるをして
甲板
(
かんぱん
)
に立ち
候
(
さふらふ
)
に、私を不思議
相
(
さう
)
に
覗
(
のぞ
)
き
行
(
ゆ
)
かぬはなく、
恥
(
はづか
)
しく
候
(
さふら
)
ひき。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
皆黒塗にして、その形狹く長く、波を
截
(
き
)
りて走ること
弦
(
つる
)
を離れし
箭
(
や
)
に似たり。
逼
(
せま
)
りて視れば、中央なる船房にも黒き布を
覆
(
おほ
)
へり。水の上なる
柩
(
ひつぎ
)
とやいふべき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
得意な雲は總てを
覆
(
おほ
)
ひ包んで、草も、木も、石も、岩も、風までも、人までも、在ゆる生物を自己の翼の下におさめて、いつまでも其儘に續けて行きさうに見える。
山岳美観:02 山岳美観
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
好み
天晴
(
あつぱれ
)
遣人
(
つかひて
)
なりしが或時
雷
(
らい
)
落
(
おち
)
て四方眞暗となりしに仁左衞門は事ともせず
拔打
(
ぬきうち
)
に
覆
(
おほ
)
ひ下りし雲の中を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
離座敷の正面には格之助の死骸らしいものが倒れてゐて、それに衣類を
覆
(
おほ
)
ひ、
間内
(
まうち
)
の障子をはづして、死骸の上を越させて、雨戸に立て掛け、それに火を附けてあつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
袖もて口を
覆
(
おほ
)
ひ、さなきだに繁き額の皺を集めて、ホヽと打笑ふ樣、見苦しき事言はん方なし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
あたかも
覆
(
おほ
)
へる水の乏しくなれる一の
泡
(
あわ
)
のごとくこの
象
(
かたち
)
おのづから碎けしとき 三一—三三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
雪
(
ゆき
)
に
覆
(
おほ
)
はれたその
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
しの
斜面
(
しやめん
)
に、
獸
(
けもの
)
の
足跡
(
あしあと
)
が、
二筋
(
ふたすぢ
)
についてゐるのは、
犬
(
いぬ
)
か
何
(
なに
)
かゞ
驅
(
か
)
け
下
(
お
)
りたのであらう、それとも、
雪崩
(
なだれ
)
になつて
轉
(
ころ
)
げ
下
(
お
)
りて
來
(
き
)
た
塊
(
かたま
)
りの
走
(
はし
)
つた
跡
(
あと
)
でもあらうかと
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
三に曰く、
詔
(
みことのり
)
を承はりては必ず謹め、
君
(
きみ
)
をば則ち
天
(
あめ
)
とす。
臣
(
やつこら
)
をば則ち
地
(
つち
)
とす。天
覆
(
おほ
)
ひ地載せて、
四時
(
よつのとき
)
順
(
めぐ
)
り行き、
万気
(
よろづのしるし
)
通ふことを得。地、天を覆はむと
欲
(
す
)
るときは、則ち
壊
(
やぶ
)
るることを致さむのみ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
苫
(
とま
)
を
且
(
か
)
つ
覆
(
おほ
)
うて、
薄
(
すゝき
)
の
穗
(
ほ
)
も
靡
(
なび
)
きつゝ、
旅店
(
りよてん
)
の
午
(
ご
)
は
靜
(
しづか
)
に、
蝉
(
せみ
)
も
鳴
(
な
)
かない。
十和田の夏霧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
平生
(
へいぜい
)
に
怠無
(
おこたりな
)
かりし天は、又今日に何の
変易
(
へんえき
)
もあらず、
悠々
(
ゆうゆう
)
として
蒼
(
あを
)
く、昭々として
闊
(
ひろ
)
く、
浩々
(
こうこう
)
として静に、しかも確然としてその
覆
(
おほ
)
ふべきを覆ひ、
終日
(
ひねもす
)
北の風を
下
(
おろ
)
し、
夕付
(
ゆふづ
)
く日の影を
耀
(
かがやか
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのくらゐですから
枝
(
えだ
)
や
葉
(
は
)
もおそろしく
繁
(
しげ
)
りひろがつてゐて
朝
(
あさ
)
は
杵島岳
(
きしまだけ
)
を
隱
(
かく
)
し、
夕方
(
ゆふがた
)
は
阿蘇山
(
あそさん
)
を
覆
(
おほ
)
つて、あたりは
晝
(
ひる
)
も、ほの
暗
(
ぐら
)
く、
九州
(
きゆうしゆう
)
の
半分程
(
はんぶんほど
)
は
日蔭
(
ひかげ
)
となり、
百姓
(
ひやくしよう
)
が
困
(
こま
)
り
拔
(
ぬ
)
いてゐたといひますが
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一人して
撫
(
な
)
づるは
袖
(
そで
)
のほどなきに
覆
(
おほ
)
ふばかりの
蔭
(
かげ
)
をしぞ待つ
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
蔦の
鬚
(
ひげ
)
がからんで、松の木がそれを
覆
(
おほ
)
うてゐる。
ジャム、君の家は
(旧字旧仮名)
/
シャルル・ゲラン
(著)
そこいらは一面に
覆
(
おほ
)
ひ冠せられたやうに成つた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
さくら木は
覆
(
おほ
)
ひかぶさりて花ちりそそげり。
佐藤春夫詩集
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
人々
外
(
そと
)
より殆んど全く
覆
(
おほ
)
はれたり。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
平次と八五郎の姿を見ると、弟子達も近所の衆も、遠慮して縁側に立去り、凄慘な死の姿が、
覆
(
おほ
)
ふところもなく二人の眼に
曝
(
さら
)
されます。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが同時に
眩暈
(
めまひ
)
を感じたと見えて、又もや手で額を
覆
(
おほ
)
ひながら近寄る和作を待ち切れず、
靠
(
もた
)
れかゝるやうに倒れて来た。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
雪に
潰
(
つぶさ
)
れざる
為
(
ため
)
也。
庭樹
(
にはき
)
は大小に
随
(
したが
)
ひ
枝
(
えだ
)
の
曲
(
まぐ
)
べきはまげて
縛束
(
しばりつけ
)
、
椙丸太
(
すぎまるた
)
又は竹を
添
(
そ
)
へ
杖
(
つゑ
)
となして
枝
(
えだ
)
を
強
(
つよ
)
からしむ。雪
折
(
をれ
)
をいとへば也。
冬草
(
ふゆくさ
)
の
類
(
るゐ
)
は
菰筵
(
こもむしろ
)
を以
覆
(
おほ
)
ひ
包
(
つゝ
)
む。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
董花
(
すみれ
)
のかほり高き
邊
(
ほとり
)
、
覆
(
おほ
)
はざる柩の裏に、
堆
(
うづたか
)
き
花瓣
(
はなびら
)
の紫に埋もれたる
屍
(
かばね
)
こそあれ。
長
(
たけ
)
なる黒髮を
額
(
ぬか
)
に
綰
(
わが
)
ねて、これにも一束の菫花を揷めり。是れ瞑目せるマリアなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
内大臣藤原卿(鎌足)が鏡王女に答え贈った歌であるが、王女が鎌足に「たまくしげ
覆
(
おほ
)
ふを安み明けて行かば君が名はあれど吾が名し惜しも」(巻二・九三)という歌を贈った。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
肩に
引掛
(
ひきかけ
)
若き女は上に
浴衣
(
ゆかた
)
を
覆
(
おほ
)
ひたれども下には
博多縮緬
(
はかたちりめん
)
の小袖を二枚着し
小柳
(
こやなぎ
)
に
縫模樣
(
ぬひもやう
)
ある帶を
締
(
しめ
)
兩褄
(
りやうづま
)
を
取揚
(
とりあげ
)
緋
(
ひ
)
の
蹴出
(
けだし
)
を
顯
(
あら
)
はし
肉刺
(
まめ
)
にても
蹈出
(
ふみだ
)
せしと見えて竹の
杖
(
つゑ
)
を
突
(
つき
)
ながら足を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
金澤氏の年々受け得た所の二樣の鑑札は、蒼夫さんの家の
筐
(
はこ
)
に滿ちてゐる。鑑札は白木の札に墨書して、
烙印
(
らくいん
)
を押したものである。札は
孔
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
ち
緒
(
を
)
を貫き、
覆
(
おほ
)
ふに
革袋
(
かはぶくろ
)
を以てしてある。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
テムプル先生の寢臺に近く、そのまつ白なカァテンに半ば
覆
(
おほ
)
はれて、小さな子供用の寢臺があつた。その
掛布團
(
かけぶとん
)
の下には人の型の輪郭が見えるけれど、顏はカァテンの蔭にかくされてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と二
行
(
ぎやう
)
に
最
(
もう
)
一
度
(
ど
)
読
(
よ
)
みながら、つひ、
銀
(
ぎん
)
の
鍋
(
なべ
)
を
片袖
(
かたそで
)
で
覆
(
おほ
)
ふて
入
(
はい
)
つた。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はやその足をもてモロッコを
覆
(
おほ
)
ふ。
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
月を浴び、
玻璃
(
はり
)
に
覆
(
おほ
)
はれ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
空冬雲に
覆
(
おほ
)
はれて
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
瓶は滅茶々々にこはされましたが、瓶の口を
覆
(
おほ
)
つた澁紙は眞新らしいまゝで、それを縛つた紐まで、そつくり、そのまゝになつてゐるのです。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又上に
覆
(
おほ
)
ふ所ありてその下には雪のつもらざるを知り土穴を
掘
(
ほり
)
て
蟄
(
こも
)
るもあり。
然
(
しか
)
れどもこゝにも雪三五尺は
吹積
(
ふきつもる
)
也。熊の穴ある所の雪にはかならず
細孔
(
ほそきあな
)
ありて
管
(
くだ
)
のごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
旅館を出でしは
祝射
(
しゆくしや
)
の
眞盛
(
まさかり
)
なりき。玄關よりも窓よりも、小銃拳銃などの空射をなせり。こは精進日の終を告ぐるなり。寺々の壁畫を
覆
(
おほ
)
へる黒布をば、此聲とゝもに
截
(
き
)
りて落すなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
試みに同じ作者が藤原鎌足の妻になる時鎌足に贈った歌、「玉くしげ
覆
(
おほ
)
ふを
安
(
やす
)
み明けて行かば君が名はあれど吾が名し惜しも」(巻二・九三)の方は
稍
(
やや
)
気軽に作っている点に差別がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
高く
吊
(
つる
)
した青銅の
洋燈
(
ランプ
)
の外には灯はまだ
點
(
つ
)
けてはなかつたけれど。別に暖かみのある光が廣間と
檞
(
かし
)
の階段の下の方の段を
覆
(
おほ
)
つてゐた。この
紅
(
べに
)
を帶びた輝きは大食堂から洩れて來るのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
覆
(
おほ
)
はん爲三次へ頼みて淺草
中田圃
(
なかたんぼ
)
にて殺害に及ばせ又神田三河町二丁目
家持
(
いへもち
)
五兵衞
召使
(
めしつか
)
ひ千太郎より五十兩の金子を騙り取候
而已成
(
のみなら
)
ず同人を
打擲
(
ちやうちやく
)
に及び
剩
(
あまつ
)
さへ惡事の證人忠兵衞夫婦へ
無實
(
むじつ
)
の
難題
(
なんだい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
俵屋に
覆
(
おほ
)
ひ
冠
(
かぶ
)
さつた暗い雲は、一夜にして取拂はれましたが、その
代償
(
だいしやう
)
の
大袈裟
(
おほげさ
)
なのに、誰も彼もが
膽
(
きも
)
をつぶしたことです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
暴風
(
ばうふう
)
四方の雪を吹
散
(
ちら
)
して白日を
覆
(
おほ
)
ひ、
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
思ひの外粗末な
身扮
(
みなり
)
も痛々しく、紅や白粉とは縁の無ささうな頭は、娘らしい可愛らしさを押し潰してゐ乍らも、生れつきの美しさは
覆
(
おほ
)
ふべくもありません。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて線香をあげて、死骸を
覆
(
おほ
)
つた
巾
(
きれ
)
を取りのけて、物馴れたガラツ八も思はず聲を立てました。
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お絹よりはほつそりして居ますが、蒼味を帶びた眞珠色の皮膚、凝脂が銀のやうに光つて、その上を血潮の網の目で
覆
(
おほ
)
つた痛々しさは何に
譬
(
たと
)
へるものもありません。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今度の事件——佐渡屋に
覆
(
おほ
)
ひ冠さる
呪
(
のろ
)
ひの手は、あまりにも殘酷で、
執拗
(
しつえう
)
で、加減も容赦もないのを見せつけられると、八五郎はもう姿を見せぬ曲者と四つに組んで
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨日と同じやうに、繩が一本
梁
(
はり
)
から下がつて、その下には取りおろしたばかりの番頭勘三郎の死骸が、
覆
(
おほ
)
ふところもなく、むき出しの怖ろしい形相をさらしてゐるのでした。
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
膝行
(
ゐざり
)
寄つて、死顏に近々と首を垂れると、靜かにそれを
覆
(
おほ
)
つた白い
巾
(
きれ
)
を取りました。
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“覆”の解説
覆(ふく)(sa: mrakṣa、ムラクシャ)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
自己の誤ちの隠蔽。利益を失う・不利益を蒙ることを恐れて、自分が為した罪を隠すこと。
しかし、自分の為した罪を隠す人は、後に、必ず悔い悲しむ。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
覆
常用漢字
中学
部首:⾑
18画
“覆”を含む語句
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