ひつくりかへ)” の例文
彼と握手をする時うした機会はずみか僕の足が老人と話して居た若い詩人の卓の下に引掛ひきかゝつてその上のさかづきが高い音を立ててひつくりかへつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それを部屋の真中にひつくりかへして、早速舟を漕ぐ真似を始めた。麻の夏蒲団は蓆筵ござの代りに成つた。小さな畳の上の船頭は団扇掛うちはかけに長い尺度ものさしゆはひ着けて、それでの形を造つた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)