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客
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ふりがな文庫
“
客
(
かく
)” の例文
『
荘子
(
そうじ
)
』に「名は
実
(
じつ
)
の
賓
(
ひん
)
なり」とあるごとく、
実
(
じつ
)
は
主
(
しゅ
)
にして
名
(
な
)
は
客
(
かく
)
である。言葉も同じく考えの
賓
(
ひん
)
、思想の
客
(
かく
)
なりといいうると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
主客
(
しゅかく
)
は一である。
主
(
しゅ
)
を離れて
客
(
かく
)
なく、客を離れて主はない。吾々が主客の別を立てて
物我
(
ぶつが
)
の
境
(
きょう
)
を判然と
分劃
(
ぶんかく
)
するのは生存上の
便宜
(
べんぎ
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
保は
客
(
かく
)
を避けて『横浜毎日新聞』に寄する文を草せんがために、
一週日
(
いっしゅうじつ
)
ほどの間柳島の
帆足謙三
(
ほあしけんぞう
)
というものの家に
起臥
(
きが
)
していた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今浪花座に出てゐる中村福助が、去年淀川に
堤切
(
どてぎ
)
れがあつた当時、
清荒神
(
きよしくわうじん
)
から大勢の贔屓
客
(
かく
)
と一緒に、大阪帰りの電車に乗込んだ事があつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
牛飼君は士を
待
(
たい
)
するの道を知りおる。殊に今度の次の内閣には国務大臣にならるゝ筈ぢやから牛飼君の
客
(
かく
)
となるは将に大いに
驥足
(
きそく
)
を伸ぶべき道ぢや。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
大いに覚悟する所あり、
遂
(
つい
)
に再び
流浪
(
るろう
)
の
客
(
かく
)
となりて東京に来り、友人の
斡旋
(
あっせん
)
によりて
万朝報社
(
よろずちょうほうしゃ
)
の社員となりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
鄭賓于
(
ていひんう
)
の話である。彼が
曾
(
かつ
)
て河北に
客
(
かく
)
となっているとき、
村名主
(
むらなぬし
)
の妻が死んでまだ葬らないのがあった。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おもへば、はや
六歳
(
むとせ
)
のむかしとなりぬ、われ身にわづらひありて、しばらく此地に
客
(
かく
)
たりき。
清見寺の鐘声
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
客
(
かく
)
は去る時応分の謝金を出して行くなり。エルサレムよりナブルスまで約十二里。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今の世に
客
(
かく
)
を愛する
孟甞君
(
まうしやうくん
)
なし有らば此人や
上客
(
じやうかく
)
の一人ならん年ごろ廿一二痩て
脊
(
せい
)
低く色白く眼は小さけれど瞳流れず口早にて細き聲の男
馬士
(
まご
)
の友と見え後先に話ながら來りしが忽ち小指を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
名所圖繪を
繙
(
ひもと
)
きて、幼き心に天下またこの
好山水
(
かうさんすゐ
)
ありやと夢みしは昔、長じて人の其山水を記せるの文を讀み、
客
(
かく
)
の
其勝
(
そのしやう
)
を説くを聞くに及びて、興湧き胸躍りて、殆どそを
禁
(
とゞ
)
むるに由なかりき。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
客
(
かく
)
あり
余
(
よ
)
に
問
(
と
)
ふに
左
(
さ
)
の二三の
事項
(
じこう
)
を以てせり、
而
(
しか
)
して
余
(
よ
)
は
爾
(
し
)
か
答
(
こた
)
へぬ。
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
いづれか
畢竟
(
つひ
)
の
主人
(
あるじ
)
なるべき、
客
(
かく
)
を留めて吾が主と仰ぎ、賊を認めて吾が子となす、其悔無くばあるべからず、恐れ多けれど聡明
匹儔
(
たぐひ
)
無く渡らせたまふに、凡庸も企図せざるの事を敢て為玉ひて
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
禅院の朝の
勤行
(
ごんぎやう
)
はてぬればまた歎かれぬ山上の
客
(
かく
)
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そしてこれに招くべき
賓客
(
ひんかく
)
の
数
(
すう
)
もほぼ定まっていた。然るに抽斎の居宅には多く
客
(
かく
)
を
延
(
ひ
)
くべき広間がないので、新築しなくてはならなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一時日本に亡命の
客
(
かく
)
たりし
朴泳孝
(
ぼくえいこう
)
氏らも
大政
(
たいせい
)
に参与し、威権
赫々
(
かくかく
)
たる時なりければ、日本よりも
星亨
(
ほしとおる
)
、
岡本柳之助
(
おかもとりゅうのすけ
)
氏ら、その
聘
(
へい
)
に応じて朝廷の顧問となり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
さういふ訪問
客
(
かく
)
のなかに一人坊主があつた。つい
先日
(
こなひだ
)
の事その坊主はひよつくり犬養氏の
邸
(
やしき
)
を訪ねて来た。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
花の
本
(
もと
)
の半日の
客
(
かく
)
、月の前の一夜の友も、名殘は惜しまるゝ習ひなるに、一向所感の身なれば、先の世の法縁も淺からず思はれ、
流石
(
さすが
)
の瀧口、
限
(
かぎ
)
りなき感慨
胸
(
むね
)
に
溢
(
あふ
)
れて、
轉〻
(
うたゝ
)
今昔
(
こんじやく
)
の
情
(
じやう
)
に堪へず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
幸に
慈愍
(
じみん
)
の御まなじりにもかゝり聊か勧賞の御言葉にもあづからむには、火をも踏み水にも
没
(
い
)
り、生命を
塵芥
(
ぢんかい
)
よりも軽く捨てむと競ひあへりしも、今かくなり玉ひては皆対岸の人
異舟
(
いしう
)
の
客
(
かく
)
となりて
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
客
(
かく
)
又
(
また
)
問
(
と
)
はず、
余
(
よ
)
を
辞
(
じ
)
して
去
(
さ
)
る。
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
東京の
客
(
かく
)
のここへ来ることは、
年
(
とし
)
に一たびあらんなどいえど、それも山田へとてにはあらざるべし。きょう今までの
座敷
(
ざしき
)
より本店のかたへ
遷
(
うつ
)
る。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と
客
(
かく
)
は寒さうな顔を見合はせて、一緒に立つて侯爵にお辞儀をした。そして玄関で待たせた
俥
(
くるま
)
に乗ると、言ひ合せたやうに体を
鯱子張
(
しやちこば
)
らせて「勇だ/\。大いに
遣
(
や
)
るぞ」と強ひて
附景気
(
つけけいき
)
をしてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
世を
挙
(
こぞ
)
って
孰
(
たれ
)
か
客
(
かく
)
に
非
(
あら
)
ざらん
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勝久はこの歌に本づいて歌曲「
松
(
まつ
)
の
栄
(
さかえ
)
」を作り、両国
井生村楼
(
いぶむらろう
)
で新曲開きをした。勝三郎を始として、杵屋一派の名流が集まった。曲は
奉書摺
(
ほうしょずり
)
の本に
為立
(
した
)
てて
客
(
かく
)
に
頒
(
わか
)
たれた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
但
(
ただ
)
欲
(
ねが
)
ふ
客
(
かく
)
の
※酔
(
へんすい
)
せんことを
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一たび
欵待
(
かんたい
)
せられたものは、友を
誘
(
いざな
)
って再び来る。玄機が
客
(
かく
)
を好むと云う風聞は、
幾
(
いくばく
)
もなくして長安人士の間に伝わった。もう酒を載せて尋ねても、逐われる
虞
(
おそれ
)
はなくなったのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
去年は
淮楚
(
わいそ
)
に
客
(
かく
)
たりき
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
客
常用漢字
小3
部首:⼧
9画
“客”を含む語句
食客
賓客
客間
客人
旅客
嫖客
乘客
浴客
客舎
顧客
侠客
華客
乗客
客室
客車
遊客
客観
刺客
相客
素見客
...