かく)” の例文
九鬼右馬允は九艘の大船に、無数の小舟を相添へ、山のごとく飾りたて、敵船まぢかく寄せつけ、やにはに大鉄砲をいちどに放ちかくる。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくれば重四郎はイヤ來たなとは思へども何喰なにくはぬ顏にて是は/\めづらしく御揃ひでよくこそ御入來かたじけなしと挨拶あいさつなすにやがて掃部は聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
可愛かはゆつまあねことなれば、やさしきゆるしのねがはずしてるに、飛立とびたつほどうれしいを此方こなたわざいろにもせす、ではきませうかと不勝々々ふしよう/″\箪笥たんすかくれば
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これにいで、彼はそもそも何のゆゑ有りて、肥瘠ひせきも関せざるかの客に対して、かくばかり軽々しく思を費し、又おもひかくるの固執なるや、その謂無いはれなおのれをば、敢て自ら解かんと試みつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
御免成おゆるしなされて御役目のさはりなるべしと申けるを粂之進かうべふり我其方に心をかくればこそ沙汰さたなしに致しおきたり其恩を思はゞ我方わがかたに居よいとまは出すまじと無體むたい引寄ひきよせるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かうらず最早もはや一年餘に及べどもお熊と一添寢そへねをせず加之そのうへむこに來りてより家内中かないぢう突掛者つゝかけものとなりやさしことばかくる者一人もなけれど下男げなん長助ちやうすけと云者のみ又七を大切たいせつになし彼の四人の者ども
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)