如是かく)” の例文
恐れ多けれども一天万乗の君なりとて欲界の網羅を脱し得玉はねば、如是かくなり玉ふこと如是なり玉ふべき筈あり、憎まむ世も無く恨まむ天もあるべからず。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
をくを造るに巧妙たくみなりし達膩伽尊者たにかそんじやの噂はあれど世尊在世の御時にも如是かく快き事ありしを未だきかねば漢土からにもきかず、いで落成の式あらば我を作らむ文を作らむ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
嗚呼我人とも終には如是かく、男女美醜のわかちも無く同じ色にと霜枯れんに、何の翡翠の髪のさま、花の笑ひのかんばせか有らん。まして夢を彩る五欲の歓楽たのしみ、幻を織る四季の遊娯あそび、いづれか虚妄いつはりならざらん。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
誰に言うたのか、女は「あの乞丐かたい如是かくてあらんを見んと思いしぞ」
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)