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かく
ふりがな文庫
“
蔵
(
かく
)” の例文
旧字:
藏
因って衆を
聚
(
あつ
)
め自身の夢と侍臣が見た所を語り、一同これはきっとその穴に財宝が
蔵
(
かく
)
されおり王がこれを得るに定まりいると決した。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さる人はかしこくとも、さる
事
(
わざ
)
は賢からじ。
金
(
こがね
)
は
六三
七
(
なな
)
のたからの
最
(
つかさ
)
なり。土に
瘞
(
うも
)
れては
霊泉
(
れいせん
)
を
湛
(
たた
)
へ、不浄を除き、
妙
(
たへ
)
なる
音
(
こゑ
)
を
蔵
(
かく
)
せり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
彼の厳密な概念の間には永遠なるものに対する無限の情熱が
蔵
(
かく
)
されている。彼の明るい論理の根柢には見透すことのできない意志がある。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
平生
包
(
つつ
)
み
蔵
(
かく
)
しているお延の利かない
気性
(
きしょう
)
が、しだいに
鋒鋩
(
ほうぼう
)
を
露
(
あら
)
わして来た。おとなしい継子はそのたびに少しずつ
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其秘密を
蔵
(
かく
)
して居る以上は、
仮令
(
たとひ
)
口の酸くなるほど他の事を話したところで、自分の真情が先輩の胸に
徹
(
こた
)
へる時は無いのである。無理もない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
が、チェロをスクヮイアーのように扱う人に比べて、カサドの演奏には、なんという美しい詩が
蔵
(
かく
)
されていることだろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
もう四十に手のとどく澄江は、熟練した女の感覚で玄二郎の孤独な外貌から内に
蔵
(
かく
)
された寧ろ多感な心情を見抜いたことは想像することができる。
姦淫に寄す
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
それから顔を上げ
下
(
おろ
)
しをする
度
(
たび
)
に、
恒
(
つね
)
は
何処
(
どこ
)
にか
蔵
(
かく
)
して置くらしい、がツくり
窪
(
くぼ
)
んだ胸を、
伸
(
のば
)
し
且
(
か
)
つ
竦
(
すく
)
めるのであつた。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この「磐井」「盛岡」の地図の表は山の
記号
(
しるし
)
で埋まっている。この山と山の重なっている中には、どのような寂莫な、神秘が
蔵
(
かく
)
されているだろう。
遠野へ
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
挑
(
いど
)
めども応ぜず、ただ
塁壁
(
るいへき
)
を堅くして、少しも出て来ない仲達は、あたかも
羞恥
(
しゅうち
)
を深く
蔵
(
かく
)
して、ひたすら外気を恐れ
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
善の皮肉に
蔵
(
かく
)
れたる至悪の
跳
(
は
)
ね起るが如き電光一閃の妙変に至りては、極めて趣致あるところ、極めて観易からざるところ、達士も往々この境に惑ふ。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
生命
(
いのち
)
に拘る大切なものを
蔵
(
かく
)
しているという黒い
手提鞄
(
てさげかばん
)
を、是非とも楽屋から盗み出しておかねばならぬというので
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
穴の中へ
蔵
(
かく
)
しておくなんぞというのが心得違いでございますから、とっちめてやるのがお役目柄でございます。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この荒々しい武将のどこにそんな細かい心遣ひが
蔵
(
かく
)
されてゐるのだらうかと、今更のやうに前にゐる相手の、荒削りのやうな相貌に見とれてゐるらしかつた。
茶話:11 昭和五(一九三〇)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
子、顔淵に
謂
(
かた
)
って曰く、用いらるれば則ち
行
(
すす
)
み、
舎
(
す
)
てらるれば則ち
蔵
(
かく
)
るとは、唯我と
爾
(
なんじ
)
とのみこれあるかな。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
彼の孫娘の
六斤
(
ろくきん
)
はちょうど、一掴みの煎り豆を握って真正面から馳け出して来たが、この様子を見て、すぐに河べりの方へ飛んで行き、烏臼木の後ろに
蔵
(
かく
)
れて
風波
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
五郎作は
少
(
わか
)
い時、
山本北山
(
やまもとほくざん
)
の
奚疑塾
(
けいぎじゅく
)
にいた。
大窪天民
(
おおくぼてんみん
)
は同窓であったので
後
(
のち
)
に
迨
(
いた
)
るまで親しく交った。
上戸
(
じょうご
)
の天民は小さい徳利を
蔵
(
かく
)
して持っていて酒を飲んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
万花画譜
(
ばんかがふ
)
! 密偵の巣窟に、この似つかわしからぬ図柄は一体どんな秘密を
蔵
(
かく
)
しているのであろうか。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
俺
(
おいどん
)
が
処
(
とけえ
)
来て見ろ。西郷先生の
城山
(
しろやま
)
で切腹さした短刀ちゅうもんが、チャンと
蔵
(
かく
)
してごわすじゃ。手紙でん何でん持っとる。来て見ろや、そりゃ、えさっかぞお。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
わたしはおしかさんの手箱の中には、丁汝昌の秘文が
蔵
(
かく
)
されていないことはなかろうと思っている。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
闇太郎は、うまうま、おのが姿を、須弥壇の下に
蔵
(
かく
)
すと、元の通りに閉めて、さて、心耳をすます。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「ここに美玉あり。
匱
(
ひつ
)
に
韞
(
おさ
)
めて
蔵
(
かく
)
さんか。
善賈
(
ぜんか
)
を求めて
沽
(
う
)
らんか。」と子貢が言った時、孔子は
即座
(
そくざ
)
に、「これを沽らん
哉
(
かな
)
。これを沽らん哉。我は
賈
(
あたい
)
を待つものなり。」
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
紀州灘
(
きしゅうなだ
)
の
荒濤
(
あらなみ
)
が
鬼
(
おに
)
が
城
(
じょう
)
の
巉巌
(
ざんがん
)
にぶつかって
微塵
(
みじん
)
に砕けて散る処、
欝々
(
うつうつ
)
とした
熊野
(
くまの
)
の山が胸に
一物
(
いちもつ
)
を
蔵
(
かく
)
して
黙
(
もく
)
して居る処、
秦始皇
(
しんのしこう
)
に
体
(
てい
)
のよい謀叛した
徐福
(
じょふく
)
が
移住
(
いじゅう
)
して来た処
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
思えば思うほど
腑
(
ふ
)
に落ちぬこと多く、ただ頭痛とのみ言い紛らしし伯母がようすのただならぬも深く
蔵
(
かく
)
せる事のありげに思われて、問わんも汽車の
内
(
うち
)
人の手前、それもなり難く
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今宵もいたく
更
(
ふ
)
けぬ、下坐敷の人はいつか帰りて表の雨戸をたてると言ふに、朝之助おどろきて帰り支度するを、お力はどうでも泊らするといふ、いつしか下駄をも
蔵
(
かく
)
させたれば
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
秦亀
(
しんき
)
は山中に
居
(
を
)
るものなり、ゆゑに
呼
(
よん
)
で山亀といふ。春夏は
渓水
(
けいすゐ
)
に遊び秋冬は山に
蔵
(
かく
)
る、
極
(
きはめ
)
て長寿する亀は是なりとぞ。又
筮亀
(
ぜいき
)
と一名するは
周易
(
しうえき
)
に亀を
焼
(
やき
)
て占ひしも此亀なりとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
柳行李
(
やなぎごうり
)
の中に、長女からもらった銀のペーパーナイフを
蔵
(
かく
)
してある。懐剣のつもりなのである。色は浅黒いけれど、小さく引きしまった顔である。身なりも清潔に、きちんとしている。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
願
(
ねがわ
)
くは汝我を
陰府
(
よみ
)
に
蔵
(
かく
)
し、汝の
震怒
(
いかり
)
の
息
(
や
)
むまで我を
掩
(
おお
)
い、わがために
期
(
とき
)
を定めしかして我を
念
(
おも
)
い給え」(十三)とは再生の欲求の発表である。ヨブは今神の怒に会えりと信じている。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
と上人が下したまふ鶴の一声の御言葉に群雀の
輩
(
ともがら
)
鳴りを
歇
(
とゞ
)
めて、振り上げし拳を
蔵
(
かく
)
すに
地
(
ところ
)
なく、禅僧の問答に有りや有りやと云ひかけしまゝ一喝されて腰の
折
(
くだ
)
けたる如き風情なるもあり
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
それ以来私は
明
(
あきらか
)
に三浦の幽鬱な
容子
(
ようす
)
が
蔵
(
かく
)
している秘密の
匀
(
におい
)
を感じ出しました。勿論その秘密の匀が、すぐ
忌
(
い
)
むべき
姦通
(
かんつう
)
の二字を私の心に
烙
(
や
)
きつけたのは、
御断
(
おことわ
)
りするまでもありますまい。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やっと袂へ入れて貞之進は持帰ったが、それからこの写真は、机の
抽斗
(
ひきだし
)
の錠のある方の奥へ
蔵
(
かく
)
まわれ、日に夜に幾度か
引出
(
とりだ
)
されて、人の足音のするまではながめられ、そして或時、実に或時
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そこに何等かの深い神秘な暗示が
蔵
(
かく
)
されてあると言はれ得ると私は思ふ。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
比較的高貴でない品を入た抽出だけ常に錠を掛けてあってそこには既に何等の秘密も
蔵
(
かく
)
されてなかった、地袋の中には、汚れや
傷
(
いた
)
み
方
(
かた
)
から観察して新年に一度か二度使用した歌留多があったね
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
「
高弓
(
こうきゅう
)
、いや、高鳥死して
良弓
(
りょうきゅう
)
蔵
(
かく
)
る。確か然うだった」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
阿古屋貝
(
あこやがひ
)
映
(
うつ
)
し
蔵
(
かく
)
せるわだつみの陰も、光も
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
恐怖とで自分を護って
蔵
(
かく
)
れています。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
手は垂れて何も
蔵
(
かく
)
さず
ひとつの道
(新字旧仮名)
/
草野天平
(著)
之を此の塔の底に
蔵
(
かく
)
す
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
時が移り世態が
革
(
あらた
)
まるのは春夏秋冬のごとくであって、雲起こる時は日月も
蔵
(
かく
)
れ、その収まる時は輝くように、聖賢たりとも世の乱れる時には隠れ
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いくら御常から
可愛
(
かあい
)
がられても、それに
酬
(
むく
)
いるだけの
情合
(
じょうあい
)
がこっちに出て
来
(
き
)
得
(
え
)
ないような醜いものを、彼女は彼女の人格の
中
(
うち
)
に
蔵
(
かく
)
していたのである。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中にはまた、その夜、用いよといわれて、正直に
蔵
(
かく
)
して持っていた
一揆
(
いっき
)
の旗を、こっそり焼きすてた者などあった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの、
白無垢
(
しろむく
)
に
常夏
(
とこなつ
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
、
浅黄
(
あさぎ
)
の
襟
(
ゑり
)
して
島田
(
しまだ
)
に
結
(
ゆ
)
つた、
両
(
りやう
)
の
手
(
て
)
に
秘密
(
ひみつ
)
を
蔵
(
かく
)
した、
絶世
(
ぜつせ
)
の
美人
(
びじん
)
の
像
(
ざう
)
を
刻
(
きざ
)
んだ
方
(
かた
)
は、
貴下
(
あなた
)
の
其
(
そ
)
の
祖父様
(
おぢいさん
)
では
無
(
な
)
いでせうか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
謝肉祭の仮装に
擬
(
なぞ
)
らえた幾多の小曲から成ったものであるが、その中にはシューマンの主張と
矜持
(
きんじ
)
と、
洒落
(
しゃれ
)
と道楽気と、淡い恋と友情とが
蔵
(
かく
)
されており
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
その時山に
蔵
(
かく
)
るる者ただ一万人残る。他の人種相殺し尽した
後
(
のち
)
出で来り相見て慈心を起し共に善法を行う。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ふところから縞の財布をとりだして、
敬々
(
うやうや
)
しく頭の上に押しいただき、
抽斗
(
ひきだし
)
の中へ
蔵
(
かく
)
したのだつた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
金城鉄壁の中に
蔵
(
かく
)
されているというわけでもなんでもなく、隠れ家はちゃーんとわかっているし、ちょっと引出して、駒井が帰って来たように舟にでも載せさえすれば
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
秦亀
(
しんき
)
は山中に
居
(
を
)
るものなり、ゆゑに
呼
(
よん
)
で山亀といふ。春夏は
渓水
(
けいすゐ
)
に遊び秋冬は山に
蔵
(
かく
)
る、
極
(
きはめ
)
て長寿する亀は是なりとぞ。又
筮亀
(
ぜいき
)
と一名するは
周易
(
しうえき
)
に亀を
焼
(
やき
)
て占ひしも此亀なりとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と上人が下したまう
鶴
(
つる
)
の一声のお言葉に群雀の
輩
(
ともがら
)
鳴りを
歇
(
とど
)
めて、振り上げし
拳
(
こぶし
)
を
蔵
(
かく
)
すに
地
(
ところ
)
なく、禅僧の問答にありやありやと云いかけしまま一喝されて腰の
折
(
くだ
)
けたるごとき風情なるもあり
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
赤靴を
履
(
は
)
き頭髪を分けをり年頃二十六、七歳位運転手風の好男子なり、男の黒つぽき
外套
(
がいとう
)
のかくしと女のお召コートの
袂
(
たもと
)
には各々遺書一通あり、
尚
(
なお
)
女のコートの袂には
白鞘
(
しろさや
)
の短刀を
蔵
(
かく
)
しあり。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
地震とか暴風とか湿気とかに関する非常に深い智慧が
蔵
(
かく
)
されている、それは長期にわたってその国民が種々の経験により
自
(
おのずか
)
らに得たものであって、個々の学者の理論的意識よりも優っている
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
蔵
常用漢字
小6
部首:⾋
15画
“蔵”を含む語句
土蔵
秘蔵
西蔵
蔵匿
武蔵
虚空蔵
家蔵
蔵人
大蔵
御蔵
石地蔵
腹蔵
蔵人所
酒蔵
蔵人頭
店蔵
土蔵造
仲蔵
貯蔵
西蔵犬
...