かく)” の例文
高見権右衛門は三百石、千場作兵衛、野村庄兵衛はかく五十石の加増を受けた。柄本又七郎へは米田監物こめだけんもつが承って組頭谷内蔵之允たにくらのすけを使者にやって、賞詞ほめことばがあった。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
だがさういふ不自由ふじゆう約束やくそく出來できないまへうたると、たとあきかなしくさびしいものだとんでゐても、それがかく個人こじん實際じつさいかんじとして人々ひと/″\むねつよれるのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
にちさうしてもなくつて巨人きよじん爪先つまさきには平坦へいたんはた山林さんりんあひだ介在かいざいしてかく村落そんらく茅屋あばらやこと/″\落葉おちばもたげてきのこのやうなちひさな悲慘みじめものでなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
として、諸将は、夜に入って、かく、持ち場持ち場の、陣地へ帰った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
定番、大番、加番の集まつた所で、土井はしやう九つどきに城内を巡見するから、それまでにかく持口もちくちを固めるやうにと言ひ付けた。それから士分のものは鎧櫃よろひゞつかつぎ出す。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)