佳句かく)” の例文
故にこれを富鬮とみくじ的応募といふ。かやうなる句は初め四、五句読めば終まで読まずともその可否は分るなり。いな一句も読まざる内に佳句かくなき事は分るなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
佳句かくを得て佳句をあたわざるをうらみてか、黒くゆるやかに引けるまゆの下より安からぬ眼の色が光る。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それではいくら佳句かく好詩こうしができたにしても、る当人の愉快はただ二三同好どうこうの評判だけで、その評判を差し引くと、あとに残るものは多量の不安と苦痛に過ぎない事に帰着してしまう。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)