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恁
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かく
ふりがな文庫
“
恁
(
かく
)” の例文
恁
(
かく
)
て
天
(
てん
)
に
雪催
(
ゆきもよひ
)
が
調
(
とゝの
)
ふと、
矢玉
(
やだま
)
の
音
(
おと
)
たゆる
時
(
とき
)
なく、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、
刻々
(
こく/\
)
に
修羅礫
(
しゆらつぶて
)
を
打
(
うち
)
かけて、
霰々
(
あられ/\
)
、
又
(
また
)
玉霰
(
たまあられ
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かく
)
許り悠然した心地は渠の平生に全くない事であつた。顏には例の
痙攣
(
ひきつけ
)
も起つて居ない。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恁
(
かく
)
て黄金丸は
鷲郎
(
わしろう
)
と義を結びて、兄弟の約をなし、この
古刹
(
ふるでら
)
を棲居となせしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
豆
(
まめ
)
の
餅
(
もち
)
、
草餅
(
くさもち
)
、
砂糖餅
(
さたうもち
)
、
昆布
(
こんぶ
)
を
切込
(
きりこ
)
みたるなど
色々
(
いろ/\
)
の
餅
(
もち
)
を
搗
(
つ
)
き、
一番
(
いちばん
)
あとの
臼
(
うす
)
をトンと
搗
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、
千貫
(
せんぐわん
)
萬貫
(
まんぐわん
)
、
萬々貫
(
まん/\ぐわん
)
、と
哄
(
どつ
)
と
喝采
(
はや
)
して、
恁
(
かく
)
て
市
(
いち
)
は
榮
(
さか
)
ゆるなりけり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かく
)
して自分は、云ふに云はれぬ或る清淨な滿足を、心一杯に感じたのであつた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
「お慈悲ぢや。」と更に拝んで、「手足に五
寸
(
すん
)
釘を打たれうとても、
恁
(
かく
)
までの
苦悩
(
くるしみ
)
はございますまいぞ、お
情
(
なさけ
)
ぢや、
禁厭
(
まじの
)
うて
遣
(
つか
)
はされ。」で、
禁厭
(
まじない
)
とは
別儀
(
べつぎ
)
でない。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かく
)
して自分は、云ふに云はれぬ或る清浄な満足を、心一杯に感じたのであつた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恁
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く、がらあきの
席
(
せき
)
であるから、
下
(
した
)
へも
置
(
お
)
かず、
席
(
シイト
)
に
取
(
と
)
つた——
旅
(
たび
)
に
馴
(
な
)
れないしるしには、
真新
(
まあたらし
)
いのが
見
(
み
)
すぼらしいバスケツトの
中
(
なか
)
に、——お
嬢
(
ぢやう
)
さん
衣絵
(
きぬゑ
)
の
頃
(
ころ
)
の
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この
辺
(
あたり
)
とて、道者宿、木賃泊りが無いではない。要するに、
容子
(
ようす
)
の
好
(
よ
)
い
婦人
(
たぼ
)
が居て、
夕
(
ゆうべ
)
をほの白く道中を招く旅籠では、風体の
恁
(
かく
)
の如き、君を客にはしないのである。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とて
越中
(
ゑつちう
)
が
頭
(
かしら
)
を
撫
(
な
)
でゝ
見
(
み
)
、
舌
(
した
)
赤
(
あか
)
くニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
人
(
ひと
)
さし
指
(
ゆび
)
に
鼻油
(
はなあぶら
)
を
引
(
ひい
)
て、しつぺい
張
(
はら
)
んと
歯噛
(
はがみ
)
をなし
立上
(
たちあが
)
りし
面貌
(
つらがまへ
)
——と
云々
(
うんぬん
)
。
恁
(
かく
)
てこそ
鬼神
(
きじん
)
と
勇士
(
ゆうし
)
が
力較
(
ちからくら
)
べも
壮大
(
そうだい
)
ならずや。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
風雲
(
ふううん
)
は、
加能丸
(
かのうまる
)
既往
(
きわう
)
の
航海史上
(
かうかいしじやう
)
珍
(
めづら
)
しからぬ
現象
(
げんしやう
)
なれども、(
一人坊主
(
ひとりばうず
)
)の
前兆
(
ぜんてう
)
に
因
(
よ
)
りて
臆測
(
おくそく
)
せる
乘客
(
じやうかく
)
は、
恁
(
かゝ
)
る
現象
(
げんしやう
)
を
以
(
もつ
)
て
推
(
すゐ
)
すべき、
風雨
(
ふうう
)
の
程度
(
ていど
)
よりも、
寧
(
むし
)
ろ
幾十倍
(
いくじふばい
)
の
恐
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
きて
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
女子
(
ぢよし
)
粧
(
よそほ
)
はば
寧
(
むし
)
ろ
恁
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
きを
以
(
もつ
)
て
會心
(
くわいしん
)
の
事
(
こと
)
とせん。
美顏術
(
びがんじゆつ
)
に
到
(
いた
)
りては
抑々
(
そも/\
)
末也
(
すゑなり
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
かく
)
て島田なり、
丸髷
(
まるわげ
)
なり、よきに従ひて出来あがれば起ちて、まづ、湯具を
絡
(
まと
)
ふ、これを
二布
(
ふたの
)
といひ
脚布
(
こしまき
)
といひ女の言葉に湯もじといふ、但し
湯巻
(
ゆまき
)
と
混
(
こん
)
ずべからず、湯巻は別に其ものあるなり。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その帽子が、此の頃の雨つゞきに、何と御覧じまするやうに、
恁
(
かく
)
の通り。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かく
)
て
可凄
(
すさまじ
)
くも
又
(
また
)
可恐
(
おそろし
)
き、
大薩摩
(
おほさつま
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
の
半
(
なか
)
ばに
雲
(
くも
)
を
貫
(
つらぬ
)
く、
大木
(
たいぼく
)
の
樹
(
みき
)
の
高
(
たか
)
き
枝
(
えだ
)
に
綾錦
(
あやにしき
)
の
巣
(
す
)
を
營
(
いとな
)
み、こゝに
女
(
むすめ
)
を
据
(
す
)
ゑ
置
(
お
)
きしが、
固
(
もと
)
より
其
(
そ
)
の
處
(
ところ
)
を
選
(
えら
)
びたれば、
梢
(
こずゑ
)
は
猿
(
ましら
)
も
傳
(
つた
)
ふべからず、
下
(
した
)
は
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
谷川
(
たにがは
)
なり。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かく
)
て、
數時間
(
すうじかん
)
を
經
(
へ
)
たりし
後
(
のち
)
、
身邊
(
あたり
)
の
人聲
(
ひとごゑ
)
の
騷
(
さわ
)
がしきに、
旅僧
(
たびそう
)
は
夢
(
ゆめ
)
破
(
やぶ
)
られて、
唯
(
と
)
見
(
み
)
れば
變
(
かは
)
り
易
(
やす
)
き
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
の、
何時
(
いつ
)
しか
一面
(
いちめん
)
掻曇
(
かきくも
)
りて、
暗澹
(
あんたん
)
たる
雲
(
くも
)
の
形
(
かたち
)
の、
凄
(
すさま
)
じき
飛天夜叉
(
ひてんやしや
)
の
如
(
ごと
)
きが
縱横無盡
(
じうわうむじん
)
に
馳
(
は
)
せ
𢌞
(
まは
)
るは
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
また婦人の方より
恁
(
かく
)
と知りつつ争つて
媚
(
こび
)
を捧げ、色を
呈
(
てい
)
する。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
後
(
のち
)
遂
(
つひ
)
に
誅戮
(
ちうりく
)
せらる、
恁
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
きもの
人妖
(
じんえう
)
也
(
なり
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
城崎
(
きのさき
)
は——
今
(
いま
)
も
恁
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
目
(
め
)
に
泛
(
うか
)
ぶ。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
漢検1級
部首:⼼
10画
“恁”を含む語句
恁麽
恁許
恁云
恁麼
恁々
恁懸
恁様
恁那
有恁
正当恁麼時