かく)” の例文
かくてん雪催ゆきもよひ調とゝのふと、矢玉やだまおとたゆるときなく、うしとらたつ刻々こく/\修羅礫しゆらつぶてうちかけて、霰々あられ/\また玉霰たまあられ
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かく許り悠然した心地は渠の平生に全くない事であつた。顏には例の痙攣ひきつけも起つて居ない。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かくて黄金丸は鷲郎わしろうと義を結びて、兄弟の約をなし、この古刹ふるでらを棲居となせしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
まめもち草餅くさもち砂糖餅さたうもち昆布こんぶ切込きりこみたるなど色々いろ/\もちき、一番いちばんあとのうすをトンととき千貫せんぐわん萬貫まんぐわん萬々貫まん/\ぐわん、とどつ喝采はやして、かくいちさかゆるなりけり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かくして自分は、云ふに云はれぬ或る清淨な滿足を、心一杯に感じたのであつた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「お慈悲ぢや。」と更に拝んで、「手足に五すん釘を打たれうとても、かくまでの苦悩くるしみはございますまいぞ、おなさけぢや、禁厭まじのうてつかはされ。」で、禁厭まじないとは別儀べつぎでない。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かくして自分は、云ふに云はれぬ或る清浄な満足を、心一杯に感じたのであつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かくごとく、がらあきのせきであるから、したへもかず、シイトつた——たびれないしるしには、真新まあたらしいのがすぼらしいバスケツトのなかに、——おぢやうさん衣絵きぬゑころ
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このあたりとて、道者宿、木賃泊りが無いではない。要するに、容子ようす婦人たぼが居て、ゆうべをほの白く道中を招く旅籠では、風体のかくの如き、君を客にはしないのである。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とて越中ゑつちうかしらでゝしたあかくニヤリとわらひ、ひとさしゆび鼻油はなあぶらひいて、しつぺいはらんと歯噛はがみをなし立上たちあがりし面貌つらがまへ——と云々うんぬんかくてこそ鬼神きじん勇士ゆうし力較ちからくらべも壮大そうだいならずや。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくごと風雲ふううんは、加能丸かのうまる既往きわう航海史上かうかいしじやうめづらしからぬ現象げんしやうなれども、(一人坊主ひとりばうず)の前兆ぜんてうりて臆測おくそくせる乘客じやうかくは、かゝ現象げんしやうもつすゐすべき、風雨ふうう程度ていどよりも、むし幾十倍いくじふばいおそれいだきて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女子ぢよしよそほはばむしかくごときをもつ會心くわいしんこととせん。美顏術びがんじゆついたりては抑々そも/\末也すゑなり
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくて島田なり、丸髷まるわげなり、よきに従ひて出来あがれば起ちて、まづ、湯具をまとふ、これを二布ふたのといひ脚布こしまきといひ女の言葉に湯もじといふ、但し湯巻ゆまきこんずべからず、湯巻は別に其ものあるなり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その帽子が、此の頃の雨つゞきに、何と御覧じまするやうに、かくの通り。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かく可凄すさまじくもまた可恐おそろしき、大薩摩おほさつまたけなかばにくもつらぬく、大木たいぼくみきたかえだ綾錦あやにしきいとなみ、こゝにむすめきしが、もとよりところえらびたれば、こずゑましらつたふべからず、した谷川たにがはなり。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かくて、數時間すうじかんたりしのち身邊あたり人聲ひとごゑさわがしきに、旅僧たびそうゆめやぶられて、ればかはやすあきそらの、何時いつしか一面いちめん掻曇かきくもりて、暗澹あんたんたるくもかたちの、すさまじき飛天夜叉ひてんやしやごときが縱横無盡じうわうむじん𢌞まはるは
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また婦人の方よりかくと知りつつ争つてこびを捧げ、色をていする。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のちつひ誅戮ちうりくせらる、かくごときもの人妖じんえうなり
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
城崎きのさきは——いまかくごとうかぶ。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)