かく)” の例文
かくすには及ばんぞ、きいたら聞いたと言うがえ。そんなら乃父おれには考案かんがえがあるから。サア慝くさずに言うが可え。何か聞いたろう?』
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
わしの跡を追掛おっかけて来て富五郎はいるか、かくまったろう、イエ慝まわぬ、居ないといえばじゃア戸棚に居ましょうというので捜しましょう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かねてから独逸人がしみつたれで、慾深で、有る程のものはぱらはずにはられない癖を知つてゐるので、てんでに財産をかくまふのに智慧を絞つたものだ。
一人ぽつちの幕の中で、俺はこの女を引きいれて、限りない欝憂から逃れたいとあせつて居たときでも俺はある大切なもの、唯一なものを、まだ彼にかくして居たのではないか。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
『サア言え! 聞いたらきいたと言え! かくすかお前は』と僕の顔をにらみつけましたから、僕も益々可怕こわくなり
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)