香具かく)” の例文
竜興の娘の妙子というのは、これもまた癩病の筋で、一時は南蛮寺の救癩院にひそんでいたが、そこにも居着かれず、香具かくと名を変えて伊豆の近くに住んでいたとも聞いている。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
聖山からこっそり逢いに来る母の香具かくの気ぜわしい愛撫のほか、人間の愛情というものを知らずに育ったが、五年前、足利学校へ追いやられる頃から、母がぷっつりと来ないようになった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)