かく)” の例文
旧字:
そうなると、その大いりやま頂上いただきが、全く鼻翼こばなすそかくれてしまって、そこと鼻筋の形とが、異様に引き合い対照を求めて来る。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
砕けた浪の白漚しらあわは、銀の歯車を巻いて、見るまに馬の脚を噛み、車輪の半分なかばまでかくした。小さいノアの方舟はこぶねが三つ出来る。浪が退いた。馬は平気で濡れた砂の上を進んで来る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
如何いかにして秤皿はかりざらにも載せがたきこの大象の重さを知り得んと答へまどひけるが、かの大臣はまた父に問ひ尋ぬるに、そはやすきことなり、象をば船に打乗せて水の船をかくすところにしるしをつけ置き
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
けれどその影の敏捷びんせふなる、とても人間業にんげんわざとは思はれぬばかりに、走寄る自分のそでの下をすり抜けて、電光いなづまの如く傍の森の中に身をかくして了つた。跡には石油をそゝいだ材料に火が移つてさかんに燃え出した。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
共にかくれし旅順の黒漚裡こくおうり
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)