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蔽
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かく
ふりがな文庫
“
蔽
(
かく
)” の例文
先頭に立った一人が、
恭
(
うやうや
)
しく三宝を目八分に捧げて、三宝の上には何物をか載せて、その上を黄色のふくさと覚しいので
蔽
(
かく
)
している。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこを散歩して、己は小さい丘の上に、
樅
(
もみ
)
の木で囲まれた低い小屋のあるのを発見した。木立が、何か秘密を
掩
(
おお
)
い
蔽
(
かく
)
すような
工合
(
ぐあい
)
に小屋に迫っている。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
兎も角も此のまま置くとは何とやら其の人の冥福にも障る様な気がしたから余は手巾を取り出し、骸骨の顔を
蔽
(
かく
)
し、
回向
(
えこう
)
の心で口の中に一篇の哀歌を唱えた。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「名宝展」などの催しは、なるべく数を
尠
(
すく
)
なく。交代に。低廉な観覧料で展観すべきだ。それでなければ
蔽
(
かく
)
れた「名品」を一般に弘めると云う主旨は徹底しない。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして、彼女等の視線は、あからめもせず、半開きにした銀扇で、横がおを
蔽
(
かく
)
すようにした雪之丞の、白く匂う
芙蓉
(
ふよう
)
の花のようなおもばせにそそがれているのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
梢
(
こずえ
)
の枝は繁りに繁ッて日の目を
蔽
(
かく
)
すばかり,時々気まぐれな鳩が
膨
(
ふく
)
れ声で
啼
(
な
)
いているが、その声が
木精
(
こだま
)
に響いて、と言うのも凄まじいが、あたりの樹木に響き渡る様子
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
それから店へ行っては、
鑵詰
(
かんづめ
)
を三つと、白砂糖を一袋と赤いレザーの緒のついた
麻裏
(
あさうら
)
を一足、すばやく風呂敷にくるんで、
袂
(
たもと
)
の影に
蔽
(
かく
)
すようにして私をつれて家を出た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
私はそこに入つてゐる不氣味な、亡靈のやうな服を
蔽
(
かく
)
さうと押入を
閉
(
し
)
めてしまつた。こんな夜——九時——には私の居間の暗がりの中に實際それは幽靈めいた
微
(
かす
)
かな光を放つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
編笠に顔を
蔽
(
かく
)
して、酔つた身振の
可笑
(
をかし
)
く、唄も歌はずに踊り行く男もある。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
取迯
(
とりにが
)
しては
假令
(
たとへ
)
訴
(
うつた
)
へ出るとも此身の
科
(
とが
)
は
免
(
まぬ
)
かれ難し
殊
(
こと
)
には
一人旅
(
ひとりたび
)
は
泊
(
とめ
)
ぬ
御大法
(
ごたいはふ
)
なり女は善六の頼みなれば
云譯
(
いひわけ
)
も
立
(
たつ
)
べけれど
侍
(
さふら
)
ひの方は此方の
落度
(
おちど
)
は
遁
(
のが
)
れ難し
所詮
(
しよせん
)
此事は
蔽
(
かく
)
すに
如
(
しか
)
じと家内の者共に
殘
(
のこら
)
ず
口留
(
くちどめ
)
して
邊
(
あたり
)
の血も
灑拭
(
ふきぬぐ
)
ひ死骸は幸ひ此頃
植
(
うゑ
)
し庭の梅の木を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
弥九郎が出てみると、面を
蔽
(
かく
)
した武家の女房らしいのが、七歳あまりの娘の手を
曳
(
ひ
)
いて立っていたが、潜戸の明くのを待兼ねてつと内へ入り、うしろざまに戸を閉めて
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蔽
常用漢字
中学
部首:⾋
15画
“蔽”を含む語句
日蔽
蔽被
蔽膝
隠蔽
蔽布
立蔽
打蔽
蔽重
蔽包
掩蔽
遮蔽
蔽物
掩蔽物
言路壅蔽
蔽覆
覆蔽
蔽蓋
蔽隠
隱蔽
遮蔽膜
...