こも)” の例文
旧字:
わたしがここにこもっていれば、世界は暗闇になった筈ではないか? それを神々は楽しそうに、笑い興じていると見える。」
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
百種ももくさことこもれるおほろかにすな」(巻八・一四五六)、「おほろかに吾し思はば斯くばかり難き御門みかど退まかめやも」(巻十一・二五六八)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
一たびわかれまゐらせて後、一〇二たのむの秋よりさきに恐ろしき世の中となりて、里人は皆家を捨てて海にただよひ山にこもれば、たまたまに残りたる人は、多く一〇三虎狼こらうの心ありて
こもといった趣きのもあり、樹の茂った高い崖の根に蒼暗く、古城趾の濠を思わすのもあって、小バイケイ草の多い、美しい草地の波を越えると、ここらで最大の明るい池畔に出る。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
梅雨の靄おほに蒸し立つ日ざかりはくるしかりけり野にこもりつつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
西へしもこもれば無しと歎くかなその二月きさらぎもちの夜の月
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
湯殿にこもりて素肌のまま足のつめ切る時すら
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
味鴨あぢの住む須佐すさの入江のこものあな息衝いきづかし見ずひさにして」(巻十四・三五四七)の用例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
深大寺松風ひさしこのこも黒南風くろはえはくらしけだし夜に入らむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
御室みもろく」は、御室みむろいつくの意で、神をまつってあることであり、三輪山の枕詞となった。「隠口こもりく」は、こもくにの意で、初瀬の地勢をあらわしたものだが、初瀬の枕詞となった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
夜の雲の白木綿雲の寄り畳む五百重が奥に不二はこもれり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふりさけて空に寒けき裾山を奥なる峯はこもりて見えず
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
み冬の雲もこごるか我がうみと木立神さび黒くこもらふ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紫の藪蒟蒻の花かげはまだ土ふかき蟾蜍ひきこも
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨呼ばひ、おらび、泣きこもれば
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こもらひぬ、あらがねいはほとのひまうづもれ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おほにただ、おほに泣きこもりぬ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)