“あっち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼方80.3%
彼地7.3%
先方1.5%
大阪1.5%
東京1.5%
清国0.7%
上方0.7%
他室0.7%
任地0.7%
彼処0.7%
彼室0.7%
日光0.7%
江戸0.7%
異国0.7%
米国0.7%
長崎0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日清日露の戦争以来日本人は随分彼方あっちへ入り込みましたが、麻雀をやったというものは聞きません。下等なものと見括みくびっていたのです。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「今年の秋は、嘉助も彼地あっちへ行商に出掛けるで、ついでくわしく様子を探って貰うわい——吾家うちでお嫁さを貰うなんて、お前さん、それこそ大仕事なんですよ」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ところでお豊だがの、おまえもっとしつけをせんと困るぜ。あの通り毎日駄々だだをこねてばかりいちゃ、先方あっち行ってからが実際思われるぞ。観音様がしゅうとだッて、ああじゃ愛想あいそをつかすぜ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
大阪あっち越佐えつささんと云っては大した御身代でいらっしゃるんだからね、土地で貰おうとおっしゃれば、網の目から手の出るほど呉れはあるがの、佐兵衞さんてえのは江戸の生れなんで
「それでは先月あとげつ帰京かえったンだね——では東京あっちにいるのだな」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
これは旦那がおもしろく思いなさらぬももっともじゃとわたしは思うくらい。それに困った人はあの千々岩ちぢわさん——たしかもう清国あっちったように聞いたですが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
殿様が清国あっちからおけえりなさるそのめえに、東京におけえりなさったでごぜエますよ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
名古屋にゃ上方あっちで友達になった海老団治って奴にたいそうな人情噺の名人があるってしょっちゅう聞かされていたもんで、それからそのおっ師匠しょさんとこへ草鞋をぬいで
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
こっちの者になるかも知れません。しずかにしておかなければ不可いけませんから、貴下方あなたがた他室あっちへお引取下さい。警部は巡査を引連れて、静にこのを立去りぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
校長はいけれど、私は何だか一所に居るのが嫌だから、金沢に残ることにして、旦那ばかり、任地あっちへ行くようにという相談をしたが不可いけなくって、とうとう新潟くんだりまで、引張ひっぱり出されたがね。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうか。お前が彼処あっちに居なくなったのは、誰か好きな人ができて、一緒になったからだと思っていたんだ。こんな処へ稼ぎに出ているとは知らなかったヨ。」
吾妻橋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
よろしい彼室あっちで待ってな。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日光あっちへ行ってしまうし、あたしゃ百いくつとかのお化けのようなお爺さんの世話をしながら、しんき臭い日を送っていたのさ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
本当に半ちゃんもとうっから銚子屋に居るって、此の間来てお前に遇わして呉れって頼むのだよ、私も江戸屋のお直とって江戸あっちに居た時分から半ちゃんとは古い馴染だし、何でも隠さずに話をするが
「長崎から流行はやって来たやつさ、異国あっちのものでね」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よくわからないって、そりゃおかしゅうござんすわね、そんな事お決めなさらずに米国あっちにいらっしゃるって」
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「ご冗戯じょうだんでしょう。新渡しんとじゃあござんせんぜ。これくらいな古渡こわたりは、長崎あっちだって滅多めったにもうある品じゃないんで」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)