“こっち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
此方79.0%
此地3.7%
是方2.6%
東京2.6%
此処1.1%
此家0.7%
当方0.7%
以来0.7%
当地0.7%
忽地0.7%
大阪0.4%
吾々0.4%
上方0.4%
以往0.4%
以後0.4%
右手0.4%
当家0.4%
我軍0.4%
我邦0.4%
是処0.4%
本邦0.4%
機関室0.4%
此岸0.4%
此村0.4%
此来0.4%
江戸0.4%
汽車0.4%
警察0.4%
金沢0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はじめのようにからかう勇気がなくなり、此方こっちも巡査の様子を見詰めていると、巡査はやはりだまったままわたくしの紙入を調べ出した。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
𤢖の一件がにかかるのと、二つには何と無しに此地こっちの方へ足が向いたと云うに過ぎないのである。けれども、彼女かれは酔っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と言って来ますし……生家さとの母からは、また……是非是方こっちへ帰って来いなんて……真実ほんとに、親達は、ず自分の子の方のことを考えてますよ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
東京こっちへ逃げ込んで来たらしいんですが……新聞には上海の方へ逃げたように書いてありましたけれども、それはその筋の手だったのでしょう
童貞 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
此身おりゃお前をだいて毎日々々みなとの部屋(勧進元かんじんもと)に相撲の稽古を見にいった、その産婆さんのうち彼処あすこじゃ湊の稽古場は此処こっちの方じゃと、指をさして見せたときには
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
長「婆さん、お願いだからおめえも己のことを此家こっちの人達へねえしょにしていてくんなせえ……これは己のちいさい時守をしてくんなすったお礼だ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちょっと当方こっちに話があるんだが——だからよ、大工でえくでも建具たてぐでも、何でもそうだが、職人てものは気性きっぷでね、ことに左官なんて、れ物を扱う職は、気性一つなんだ——
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いきなり(目は一つだけか。)と言われてから以来こっち、ほんとうに大師匠だと恐入って、あとあとまでも、くわしくこまかく、さしあいのない処でさえあれば、話すのを、按摩も、そっちこっちから
何時いつ当地こっちへ。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
忽地何人加点筆 忽地こっちとして何人なんぴと点筆てんぴつくわ
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もう少しコセコセしたところのない浮世離れた、大阪こっちの言葉で言おうなら「ぞこぬけた」ところがあったっていいじゃないか。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
親父も海老蔵という落語家で親代々の上方の芸人だったが、大阪こっちの育ちに似げなく話し口があっさりとしていて上品だった。大阪の特色である尾籠なことや淫猥なことも、プツリとも口にしなかった。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
どうも怪訝おかしいと言う近所界隈の取沙汰じゃ……吾々こっちもドウモそこいらが臭いような……事件ことの起りはその辺ではないかと言いたいような気持がするが
この一件が片付き兼ねる……下手人がわからぬとなると吾々こっちは元よりの事、御主人の松倉様まで、十手捕縄を返上せにゃならぬかも知れぬと言うので、松倉十内様は今のところ青息吐息
お酒だけは、上方こっちがよかった。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
十数年以往こっち文壇と遠ざかってからはや無関心になったが、『しがらみ草紙』や『めざまし草』で盛んに弁難論争した頃は
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
駕「何処だか少しも見当みあてが付きませんが、おい/\、先刻さっき左に見えた土手の燈火あかりが、此度こんど右手こっちに見える様になった、おや/\右の方の森が左になったが、そうすると突当りが山谷の燈火か」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
武「御免小間物屋孫兵衞さんのおうち当家こっちかえ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『また明日あすの新聞が楽しみだ、これで敗戦まけいくさだと張り合いがないけれど我軍こっちの景気がよいのだから同じ待つにも心持ちが違うよ。』おやすみと帰ってしまえばあとは娘二人と吉次のみ
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
うう朝鮮か……東学党とうがくとうますます猖獗しょうけつ……なに清国しんこくが出兵したと……。さあ大分だいぶおもしろくなッて来たぞ。これで我邦こっちも出兵する——戦争いくさになる——さあもうかるぜ。お隅、前祝いだ、おまえも一つ飲め
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
それが五里淵ごりぶちの赤い崖に突き当って、非常な勢で落ちて行く。どうして、この水瀬が是処こっちの岩から向うの崖下まで真直まっすぐに突切れるものではない。それに澄んだ水の中には、大きな岩の隠れたのがある。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
千「人の形に成って居るような草の根だというが、私は知らないけれども、誠に少ないもので、本邦こっちへも余り渡らない物だけれども、其のお薬をおっかさまにべさせる事もできないんだよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ヘエ。そんなもんですかね。ヘエ。成る程。親方がそこまで云うんなら私等あっしらあ手を引きましょうが、しかし機関室こっちの兄貴達に、先に手を
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鉄繩てつなわの架橋 が此岸こっちの山の岩から向う岸の山の岩へ括り付けてあって其橋それへブランコになって人が向うへ渡って行くというに過ぎなかったのでしょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「よっぽど此村こっちへは来なかったネ。」
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
長「いつぞやは種々御馳走を戴きまして、それから此来こっち体がわりいので、碌に仕事をいたしませんから、棚も木取きどったばかりで未だ掛りません」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
元は田舎の百姓でわたくしの少さい時江戸こっちへ出て来て、荒物屋を始めると火事で焼けて、間もなく親父が死んだものですから、母親おふくろが貧乏の中で私を育ったので
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ははは 汽車こっちがたうとうなゝめに列をよこぎったので
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「君の新聞に書かれる前に、警察こっちの手で引っぱたけば一も二もなかったんだが、すっかり手を廻しくさって……口を揃えて新聞記事を事実無根だとぬかすんだ」
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
旦那を残し、坊やはその時分五歳いつつでね、それを連れて金沢こっちへ帰ると、さっぱりしてその居心のかったっちゃあない。坊もまた大変に喜んだのさ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)