当方こっち)” の例文
旧字:當方
当方こっちは掛値なしの小銭払底なのだから、然らば他の乗客相手の取引で車掌に釣銭の出来るのを待つ外なしと観念して、後部座席に着いた。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
ちょっと当方こっちに話があるんだが——だからよ、大工でえくでも建具たてぐでも、何でもそうだが、職人てものは気性きっぷでね、ことに左官なんて、れ物を扱う職は、気性一つなんだ——
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
乗ってから一寸ちょっと困ったことには、小銭が五十銭玉と銅貨二個。——僕自身の内規では、二割以上の買物をしないで大銭を崩すことは仮令当方こっちがお客様であっても罪だと思っている。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)