東京こっち)” の例文
「まあ、人様のもので、義理をするんだよ、こんな呑気のんきッちゃありやしない。串戯じょうだんはよして、謹さん、東京こっちは炭が高いんですってね。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東京こっちへ逃げ込んで来たらしいんですが……新聞には上海の方へ逃げたように書いてありましたけれども、それはその筋の手だったのでしょう
童貞 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
病院に這入ったり何や彼やで遣い果し、浜でも富貴楼の御夫婦が御親切になすって下さったが、東京こっち親戚みよりも有りますから、それを力にのぼりますると
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「海老を呼んでやろう東京こっちへ。あいつの噺口ならサラリとしているから、上方弁でもきっと受ける」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
年頃節倹の功が現われてこの頃ではすこしは貯金たくわえも出来た事ゆえ、老耊としよッたお袋に何時までも一人住ひとりずみの不自由をさせて置くも不孝の沙汰さた、今年の暮には東京こっちへ迎えて一家を成して
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あれ東京こっちで早くこんな店でも出すようにならなけア……。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
今はまだ東京こっちに居とうござんすよ
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)