“こゝ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
此處15.4%
茲14.8%
此処12.7%
爰12.5%
此家10.9%
此所8.1%
此6.1%
是2.5%
此室1.7%
此地1.7%
此寺0.8%
当家0.8%
斯0.8%
此宿0.8%
東京0.6%
戸々0.6%
是処0.4%
此村0.4%
其所0.4%
呱々0.4%
此店0.4%
此方0.4%
此肩0.4%
此辺0.4%
心0.2%
学校0.2%
此市0.2%
此邸0.2%
此際0.2%
茲所0.2%
仍0.2%
何処0.2%
個々0.2%
其処0.2%
凍0.2%
室内0.2%
当処0.2%
当地0.2%
斯処0.2%
此境0.2%
此墓0.2%
此庵0.2%
此日0.2%
此楼0.2%
此点0.2%
此道0.2%
此都0.2%
此點0.2%
浅草0.2%
番所0.2%
茲処0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『さうだ、神樣に頼みたいことがあつたら、前から拜むより、後(うしろ)からさう言つた方がよく聞えるぜ、お賽錢(さいせん)も此處(こゝ)からの方が利(き)くよ。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
縁談どころか、瑠璃さんには、何時までも、茲(こゝ)にゐて貰ひたいのだ。殊に、光一があゝなつてしまへば、お父様の子はお前丈(だけ)なのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
そこの桑の餉台(ちやぶだい)の上には、此処(こゝ)のやうな真つ白な卓布を照らす、シャンデリアとは異(ちが)ふけれど、矢つ張り明るい燈火が点(とも)されてあつた。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
別して巣林子の著作の中(うち)に恋愛の恋愛らしきもの甚だ尠(すく)なきを悲しまざるを得ず。蓋(けだ)し其の爰(こゝ)に到らしめしもの諸種の原因あるべし。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此家(こゝ)へ世辞(せじ)を買(かひ)に来(く)る者は何(いづ)れも無人相(ぶにんさう)なイヤアな顔の奴(やつ)ばかり這入(はい)つて来(き)ます。是(これ)は其訳(そのわけ)で無人相(ぶにんさう)だから世辞(せじ)を買(かひ)に来るので婦人
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
砧村(きぬたむら)の途中(とちう)で磨石斧(ませきふ)を拾(ひろ)ひ、それから小山(こやま)の上(あが)り口(くち)で、破片(はへん)を拾(ひろ)つたが、既(も)う此所(こゝ)までに五里(り)近(ちか)く歩(ある)いたので、余(よ)は少(すこ)しく參(まゐ)つて來(き)た。
汲ませ玉へやといふ先に家の大(おほい)なるに合せ奮發したる茶代の高此(こゝ)に至ツて光を放ちぬ併(しか)しながら此家は夫是(それこれ)の事に拘はらず山を祝ふて酒を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
壓制(あつせい)、僞善(ぎぜん)、醜行(しうかう)を逞(たくまし)うして、以(も)つて是(これ)を紛(まぎ)らしてゐる。是(こゝ)に於(おい)てか奸物共(かんぶつども)は衣食(いしよく)に飽(あ)き、正義(せいぎ)の人(ひと)は衣食(いしよく)に窮(きう)する。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此室(こゝ)が宜からうといふ蔵海の言のまゝ其室の前に立つて居ると、蔵海は其処だけ雨戸を繰つた。庭の樹〻は皆雨に悩んでゐた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
此地(こゝ)でない、どこか他(ほか)の処(ところ)に広々とした、まだ何者にも耕し古るされてゐない新鮮な沃野(よくや)が拡がつてゐる。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
私の顔貌(かおかたち)が斯(こ)んなに成ったものだから捨てゝ逃げるのだと思うから油断を致しませんで、此寺(こゝ)に四五日居りまする中(うち)に、因果のむくいは恐ろしいもので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
望月刑事が当家(こゝ)へ訪ねたのは、日ももうトップリ暮れた頃だった。栄吉は稼ぎに出ていて未だ帰らず、三十そこ/\と思われる狡猾(こす)そうな顔をした女房が留守番をしていた。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
然(しか)れども秋は鎌倉に限るにあらず、人間到るところに詩界の秋あり。欺き易き希望を駕御(がぎよ)するの道は、斯(こゝ)にこそあれ。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
梅「どうか此宿(こゝ)を出る所だけは駕籠に仕よう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勝沼(かつぬま)の町(まち)とても東京(こゝ)にての塲末(ばすゑ)ぞかし、甲府(かうふ)は流石(さすが)に大厦高樓(たいかかうろう)、躑躅(つつじ)が崎(さき)の城跡(しろあと)など見(み)る處(ところ)のありとは言(い)へど、汽車(きしや)の便(たよ)りよき頃(ころ)にならば知(し)らず、こと更(さら)の馬車腕車(ばしやくるま)に一晝夜(ちうや)をゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あの日(ひ)の出(い)づる邊(へん)、我(わが)故國(ここく)では今頃(いまごろ)は定(さだ)めて、都大路(みやこおほぢ)の繁華(はんくわ)なる處(ところ)より、深山(みやま)の奧(をく)の杣(そま)の伏屋(ふせや)に到(いた)るまで、家々(いへ/\)戸々(こゝ)に日(ひ)の丸(まる)の國旗(こくき)を飜(ひるがへ)して、御國(みくに)の榮(さかえ)を祝(いわ)つて居(を)る事(こと)であらう。
「はてな、一晩是処(こゝ)であかして仕舞つたか知らん」といふのが、リツプの最初の考でした。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
立つ前に密(こつそ)り衣服(きもの)などを取纒めて、幸ひ此村(こゝ)から盛岡の停車場に行つて驛夫をしてる千太郎といふ人があるから、馬車追の權作老爺に頼んで、豫じめ其千太郎の宅まで屆けて置く。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
忘る實(げ)に蓬莱(ほうらい)の仙境(せんきやう)も斯る賑(にぎは)ひはよも非じと云ふべき景況(ありさま)なれば萬八樓より翦(それ)たる一同は大門内(おほもんうち)山口巴(やまぐちともゑ)と云引手茶屋へ躍(をど)り込(こめ)ば是は皆々樣御揃(そろ)ひで能うこそお出(いで)在(あら)れしぞ先々二階へ入(いら)つしやいと家内の者共喋々(てふ/\)しき世事の中にも親切(しんせつ)らしく其所(そこ)よ其所(こゝ)よと妓樓(まがき)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
然るに彼等は呱々(こゝ)の声の中(うち)より既にこの霊性を喪(うしな)へるを自識せざる可らざる運命に抱かれてありたり、自然なる願欲は抑へて、不自然なる屈従を学ばざる可らざるタイムの籠に投げられてありたり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「此店(こゝ)ぢや生物(なまもの)は扱はないだらうな」
どうも此方(こゝ)へは病気で参(めえ)られませんと云うて向うに居るのは奇怪(きっかい)じゃアねえか、どう云う次第であるか、胸を聞こう、向うへ挨拶なら此方(こゝ)へも挨拶だけ来て貰わねえばなんねえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は何うしても斯うと決心して居るのだから夫れは折角だけれど聞かれないよと言ふに、吉は涕の目に見つめて、お京さん後生だから此肩(こゝ)の手を放してお呉んなさい。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一体此辺(こゝ)らは四月時分には随分大きな魚(もの)もかゝります。
よもや植木屋(うゑきや)の息子(むすこ)にてはあるまじく、さりとて誰(た)れ住替(すみかは)りし風説(うはさ)も聞(き)かねば外(ほか)に人(ひと)の有(あ)る筈(はず)なし、不審(いぶかし)さよの底(そこ)の心(こゝ)ろは其人(そのひと)床(ゆか)しければなり、用(よう)もなき庭歩行(にはあるき)にありし垣根(かきね)の際(きは)
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花(はな)に吹(ふ)く嵐(あらし)のおそろしき心(こゝ)ろも我(わ)れ知(し)らず起(おこ)らんにや、許(ゆ)るさせたまへとて戀(こひ)なればこそ忠義(ちうぎ)に鍛(きた)へし、六尺(しやく)の大男(おほおとこ)が身(み)をふるはせて打泣(うちなき)し、姿(すがた)おもへば扨(さて)も罪(つみ)ふかし、六歳(ろくさい)のむかし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
梅子は握られし銀子の手を一ときは力を籠(こ)めて握り返へしつ「否(いゝえ)、銀子さん、私は学校(こゝ)に居た時と少しも変らず、貴嬢を真実の姉と懐(おも)つて居るんです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
日常(いつも)さう思(おもふ)んですの、貴嬢の深い心の底にほんとに恋と云(いふ)ものが無(ない)んだらうかと——学校(こゝ)に居た頃の貴嬢のことは私、能(よ)く知つててよ、貴嬢の御心は、只(た)だ亡き阿母(おつかさん)を懐(おも)ふ麗(うる)はしき聖(きよ)き愛に溢(あふ)れて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
雨滴(あまだれ)式の此市(こゝ)の女性が、嚴肅な、赤裸々な、明皙の心の樣な秋の氣に打たれて、『ああ、ああ、今年もハア秋でごあんすなつす——。』
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分は恁(かう)信じたからこそ、此市(こゝ)の名物の長澤屋の豆銀糖でお茶を飮み乍ら、稚ない時から好きであつた伯母さんと昔談(むかしばなし)をする樂みをさへ擲ち去つて、明(あか)からぬ五分心の洋燈(ランプ)の前に
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
此邸(こゝ)にては煤取(すゝとり)の笹(さゝ)の葉(は)座敷(ざしき)にこぼれて、冷(ひや)めし草履(ぞうり)こゝかしこの廊下(らうか)に散(ちり)みだれ、お雜巾(ぞうきん)かけまする物(もの)、お疊(たゝみ)たゝく物(もの)、家内(かない)の調度(てうど)になひ廻(まは)るも有(あ)れば、お振舞(ふるまひ)の酒(さゝ)に醉(ゑ)ふて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此邸(こゝ)の奧樣(おくさま)に何(ど)うも能(よ)く似(に)て居(い)た人(ひと)で有(あ)つた、繼母(まゝはゝ)で有(あ)つたので平常(つね)の我慢(がまん)が大底(たいてい)ではなく、積(つも)つて病死(びやうし)した可憐(かわいさう)な子(こ)と何(いづ)れ彼(あ)の男(をとこ)の事(こと)で御座(ござ)りますから、眞面目(まじめ)な顏(かほ)であり/\を言(い)ひましたを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と言つて、すこし調子を変へて、『御承知の通り、選挙も近いてまゐりました。どうしても此際(こゝ)のところでは貴方に助けて頂かなければならない。 ...
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何と申したつて、事実は事実ですから情ない。もし私が今度の選挙に失敗すれば、最早につちもさつちもいかなくなる。どうしても此際(こゝ)のところでは出るやうにして頂かなければならない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
隣の連中は余程世間が広い男達と見えて、右左(みぎひだり)を顧(かへり)みて、彼所(あすこ)には誰(だれ)がゐる、茲所(こゝ)には誰(だれ)がゐると頻(しき)りに知名な人の名を口(くち)にする。中(なか)には離れながら、互に挨拶をしたのも一二人(いちににん)ある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此団扇を翳(かざ)して立つた姿勢が好(い)い。流石(さすが)専門家は違(ちがひ)ますね。能(よ)く茲所(こゝ)に気が付(つ)いたものだ。光線が顔へあたる具合が旨(うま)い。陰(かげ)と日向(なた)の段落(だんらく)が確然(かつきり)して——顔丈でも非常に面白い変化がある
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝飯を急いで直に仍(こゝ)から一里餘の香取神社へ俥を走らせた。降らう/\としながらまだ雨は落ちて來なかつた。佐原町を出外れると水々しい稻田の中の平坦な道路を俥は走る。
水郷めぐり (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
何にしても何処(こゝ)に居ては事面倒だから、至急前橋か高崎まで下(さが)るが、貴公此の女を見捨てずに生涯女房にして遣んなさい……またお前も治平殿方へ嫁付(かたづ)いたら、もう斯様(こん)な浮気を為(し)ちゃアならんぜ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
又(また)他(た)の人(ひと)は建築(けんちく)の本義(ほんぎ)は「實」であると云(い)ふかも知(し)れぬ。孰(いづ)れが正(せい)で孰(いづ)れが邪(じや)であるかは容易(ようい)に分(わか)らない。人(ひと)の心理状態(しんりじやうたい)は個々(こゝ)に異(こと)なる、その心理(しんり)は境遇(きやうぐう)に從(したが)て移動(いどう)すべき性質(せいしつ)を有(もつ)て居(ゐ)る。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
すると其処(こゝ)に野口權平(のぐちごんぺい)と云う百姓がございます、崖の方へ引付(ひッつ)いてある家(うち)で、六十九番地で、市四郎は予(かね)て知合(しりあい)の者ゆえ其家(そこ)を起して湯を貰い
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しらざるゆゑなりその者よびとひて聞せん今江戸其外(そのほか)所々より出す過料(くわれう)金銀は公儀(こうぎ)に御入用抔(など)には決(けつ)して用(もちひ)給ず唯(たゞ)橋(はし)道等(みちとう)の御修復金(ごしゆふくきん)と成る多くは橋(はし)の普請(ふしん)のみ入用に成事なり是にて飢(う)ゑ凍(こゝ)ゑる人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
由「旦那私(わたくし)は雷にゃア驚きましたが、お湯へ入(い)れただけは当処(こゝ)も中々気が利いてますね」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
会場は花晨亭と云つて、当地(こゝ)で第一等の料理屋ださうだが、おれは一度も足を入れた事がない。もとの家老とかの屋敷を買ひ入れて、其儘開業したと云ふ話だが、成程見懸からして厳(いか)めしい構だ。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『実に我輩も意外だつたね。』と弁護士は思出したやうに、『一緒に斯処(こゝ)の家(うち)を出て法福寺へ行く迄も、彼様(あん)な烈しいことを行(や)らうとは夢にも思はなかつた。 ...
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まして此境(こゝ)が冬になつて氷雪の時にあへば、岩壁四圍悉く水晶とこほり白壁と輝いて、たゞ一條長(とこし)へに九天より銀河の落つるを看る、その美しさは夏季に勝ることは遠いものであらうが、今は
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ロミオ いかにも、生(い)きてをられぬ身(み)ぢゃ。なればこそ此墓(こゝ)へは來(き)た。いやなう、若(わか)、命知(いのちし)らずの者(もの)に手出(てだ)しをなさるな。早(はや)うお迯(に)げなされ。此(この)亡者達(もうじゃたち)の事(こと)を思(おも)うて怖(おそ)れたがよい。
ロレ (傍を向きて)それは遲(おそ)うせねばならぬ仔細(わけ)が、此方(こち)に解(わか)ってをらなんだらなア!……あれ、御覽(ごらう)ぜ、姫(ひめ)が此庵(こゝ)にわせられた。
いつそ穴鑿りで引使はれたはうが苦しうないと思ふ位、其中で何か斯か此日(こゝ)まで運ばして来たに今日休んでは大事の躓き、胸が痛いから早帰りします
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
近いところが此楼(こゝ)にいたあの綾衣(あやぎぬ)がいゝお手本だよ、あんな夢中になって初(はつ)さんのところへ行(ゆ)き、惚れた同士だから嘸(さ)ぞ中好(なかよ)く毎日暮すだろうと、楼中(うちじゅう)の羨(うらや)みものだッたは知っているだろう
彼点(あすこ)を立てれば此点(こゝ)に無理があると、まあ我の智慧分別ありたけ尽して我の為ばかり籌(はか)るでは無く云ふたことを、無下(むげ)に云ひ消されたが忌〻しくて忌〻しくて随分堪忍(がまん)も仕かねたが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
木颪(きおろし)まで参りまする途中でもって馬方が此道(こゝ)が近いからと云うて此処(こゝ)を抜けて参りますと、悪漢(わるもの)が出ましたものじゃから、馬方は馬を放り出した儘逃げて了(しま)うと、私は大勢に取巻かれて衣服(きもの)を剥(は)がれ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此都(こゝ)に出ても輕蔑されて出來ぬ物に言ひおとされましたれば猶さらの事、美事通して見せねば骨も筋もなき男でござります、我れは其やうな骨なしに見えまするかとて
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
斯う考へると、誠に此世が情(なさけ)なく心細くなるが、然し此點(こゝ)が却つて面白い、頗る面白い。自分は『完全』といふものは、人間の數へ得る年限内は決して此世界に來らぬものと假定して居る。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして其(その)時自分にお辞儀をしかけた若い座附作者を眺(なが)めて、「君なぞはまだ解るまいが、浅草(こゝ)は天気模様によつてすぐ百二百は違ふんだからね。」
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
先刻(せんこく)、あなたのとこへお客(きやく)がありましてね、門(かど)をのぞきなさるから、あゝ泉(いづみ)をおたづねですかと、番所(こゝ)から聲(こゑ)を掛(か)けますと、いや用(よう)ではありません——番(ばん)だといふから、ちよつと見(み)に來(き)ました
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
私は困つたが茲処(こゝ)ぞ臍(ほぞ)の据え時と思つて、平気な風をして、あなた等大きな声で何ですねゑ、と懐ろ手で澄して居ると