こゝ)” の例文
たゞこゝにハルトマンが哲學上の用語例によりて、右の三目を譯せば足りなむ。固有は類想ガツツングスイデエなり、折衷は個想インヂヰヅアアルイデエなり、人間は小天地想ミクロコスミスムスなり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
別して巣林子の著作のうちに恋愛の恋愛らしきもの甚だすくなきを悲しまざるを得ず。けだし其のこゝに到らしめしもの諸種の原因あるべし。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それではたねあかしの手品てじな同樣どうやうなぐさみになりません、おねがひまをしましたのはこゝこと御新造樣ごしんぞさまひとうぞなんでもおをしへなさつてつかはさりまし。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかれどもこゝに一ツの不思議あり、そのふしぎをおもへば、むかし時平にゆかりの人越後にながされなどして此地にをはりたるにやあらん。
森「え、御免ねえ/\、おい兄い々々こゝでそんな事を云っちゃア商売の障りにならア表へ人が黒山のように立つから此方こっちへ来ねえ/\」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
渡さんと思ひしがまてしばし主人が八山へ參り町奉行の威光ゐくわうを落すなと仰られしはこゝなりと平石は態と聲高こわだかに拙者は何方いづかたに參るも帶劔を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人民の行為に対しては司法官の審検あらん。去れど其の対手あひてたる警官の挙動は今まこゝに其の一斑を記述し置くべき必要あらん。
鉱毒飛沫 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
よこすからこゝまちなと云ふを聞かず亭主大きに世話であつたなと大勇みで飛び出しは出たものゝ痛みは先より尚強し一丁行きては立止り景色を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
記には「こゝに将門まんと欲すれども能はず、進まんと擬するに由無し、然して身を励まして勧拠し、刃を交へて合戦す」
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
……(下人に)やい、そちはヹローナぢゅう駈𢌞かけまはって(書附を渡し)こゝ名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけて、今宵こよひわがやしきねんごろ御入來ごじゅらいをおまうすとへ。
こゝいてか滿座まんざこと/″\拍手はくしゆ喝釆かつさいしました、それはしん王樣わうさま其日そのひおほせられたうちもつとたくみみなるお言葉ことばでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
神使の橋の上より、御寺の全景を眺むるに、燈の光は黄なるテヱエル河の波を射て、遊びたのしむ人の限を載せたる無數の舟を照し、こゝに又一段の壯觀をなせり。
吾人われらは今こゝに印度の公子とナザレの木匠とを比較せんとする者に非ず、何となれば、斯る議論は「宗教家」として徒らに争論の資を作るが如きものたるのみならず、其生長の年歴さへ
俺はこゝから十町離れた乞丐こじき横町の裏屋の路次の奥の塵溜ごみためわきで生れたのだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ元來ぐわんらい愛國あいこく慷慨かうがいひとかつ北海ほくかい滊船きせん面會めんくわいしたときも、談話だんわこゝおよんだときかれはふと衣袋ポツケツトそこさぐつて、昨夜さくや旅亭りよてい徒然つれ/″\つくつたのだとつて、一ぺん不思議ふしぎ新體詩しんたいししめされた。
楽しい思想かんがへは来て、いつの間にか、丑松の胸の中に宿つたのである。昔、昔、少年の丑松があの幼馴染をさななじみのお妻と一緒に遊んだのはこゝだ。互に人目をぢらつて、輝く若葉の蔭に隠れたのは爰だ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
溜池ためいけ屋舗やしきの下水落ちて愛宕あたごしたより増上寺ぞうじやうじの裏門を流れてこゝおつる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ら、いま日本につぽんかざるなし、毒龍どくりようこゝ鬼个島おにがしま
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
徳川氏以後世運のやうやく熟し来りたるを以て、こゝに漸く、多数の預言者を得て孚化ふかしたる彼等の思想は、漸く一種の趣味を発育し来れり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しかれどもこゝに一ツの不思議あり、そのふしぎをおもへば、むかし時平にゆかりの人越後にながされなどして此地にをはりたるにやあらん。
賤「新吉さんお前こゝにいてはいけないよ、どんな事が有っても詮方しかたがないから土手へ連れて行って彼奴あいつ斬払ぶっぱらっておしまいよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
徊歴くわいれき肥後國ひごのくに熊本の城下じやうかに到りぬこゝは名におふ五十四萬石なる細川家ほそかはけの城下なれば他所とはかは繁昌はんじやうの地なり寶澤は既に路用ろよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
渠奴かやつ犬の為におびやかされ、近鄰きんりんより盗来ぬすみきたれる午飯おひるを奪はれしにきはまりたり、らば何ほどのことやある、とこゝに勇気を回復して再び藪に侵入せり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まことに世の中は不幸なる人の集合あつまりと云うても差支さしつかへない程です、現に今まこゝ団欒よつてる五人を御覧なさい、皆な社会よのなか不具者かたはです、渡辺の老女さんは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ロミオ とうにてゝしまうたぢゃ。わしこゝにはゐぬ、これはロミオではい、ロミオは何處どこ他所よそにゐよう。
榛軒は十月に大病に罹つて、十一月に歿したからである。こゝに寿海の榛軒に与へた一通の書牘があつて、是も亦文淵堂の花天月地くわてんげつち中に収められてゐる。其文はかうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
詔使到来を待つのころほひ、常陸介ひたちのすけ藤原維幾朝臣あそんの息男為憲、ひとへに公威を仮りて、ただ寃枉ゑんわうを好む。こゝに将門の従兵藤原玄明の愁訴により、将門其事を聞かんが為に彼国に発向せり。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
こゝ話談はなし後戻あともどりをしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
然るに吾人がこゝにて物好きにも少しくライフの意義に就きて言はんと欲するに至りたるは、決して偶然の事にあらざるなり。
人生の意義 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
こゝおいかくおほすべきにあらざるをつて、ひざいて、前夫ぜんぷ飛脚ひきやくつて曳出ひきだすとともに、をつと足許あしもとひざまづいて、哀求あいきうす。いは
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文「フム、それでは四十金で必ず治ると医者が受合いましたかえ、それじゃアこゝに四十金持合せがありますから、これをお前さんに上げましょう」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さればこゝに一証をたるゆゑ、此雪譜せつふ記載きさいして后来こうらいしめすは、かゝる瑣談さだんも世に埋冤まいゑんせん事のをしければ、いざさらばとて雪にころばす筆の老婆心らうばしんなり。
御月番の御老中へあて急飛きふひを差立らるこゝに又天一坊の旅館りよくわんには山内伊賀亮常樂院赤川大膳藤井左京等なほ密談みつだんに及び大坂は餘程よほどとむなり此處にて用金ようきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
や、松島、こゝに居る山木は君のしうとさうぢやナ、——先頃誰やらが来てしきりに其のうはさし居つた
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
先生御紹介可被下くださるべくと頼候時、武清申候には、隨分承知致候、歸府の上なり共、當地より文通にてなり共、五山へ可申込候まうしこむべくそろ、しかしながらこゝに一つの譯合あり、謝物が薄ければ
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
将門背走相防ぐあたはざるの間、良兼の為に人物を殺損奪掠さつそんだつりやくせらるゝのよしは、つぶさに下総国の解文げもんに注し、官に言上ごんじやうしぬ、こゝに朝家諸国にせいを合して良兼等を追捕す可きの官符を下されをはんぬ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
主はこゝに、難くして且つむごき多くの他のしゆに就けるものを招き玉ふ。彼等は重きを負ふて長途を行きたれば痛く疲れてあり。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
さもあらばあれ、夕顏ゆふがほ薄化粧うすげしやうかけひみづたまふくむで、露臺ろだいほしに、ゆきおもてうつす、姿すがたまたこゝにあり、姿すがたまたこゝにあり。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こゝにお話は二つに分れまして寛政九年八月十日の事でございますが、信州水内郡みのちごおり白島村しろしまむらと申す処がございます。是は飯山いいやまの在で山家やまがでございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さればこゝに一証をたるゆゑ、此雪譜せつふ記載きさいして后来こうらいしめすは、かゝる瑣談さだんも世に埋冤まいゑんせん事のをしければ、いざさらばとて雪にころばす筆の老婆心らうばしんなり。
こゝに吉永卯三郎さんと云ふ人がある。わたくしに書を寄せてかう云ふことを報じてくれた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
而して事は、解散前に掛れりと雖も、問題の警察に関するが為めに、こゝに附記すべき一事あり。其は他に非ず、館林警察署が一旦野口春蔵と言へるを捉らへながら、之を解放したる一事に在り。
鉱毒飛沫 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
而して此攻撃たるや、恐らく余が「人生相渉論」を誤読したるより起りたる者なるべしと思へば、こゝに一言するの止むべからざるを信ずるなり。
賤事業弁 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
先ず即ち僕も斯う遣ってこゝへ這入った事だから、兎に角僕に預け給わんければ相成らんと心得有らずんば有るべからず
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けてこゝに、がたりびしりは、文章ぶんしやうさえで、つゑおと物凄ものすごみゝひゞく。なか/\くちつてもあぢこゑせぬ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第七番目の釜の地景ちけいこゝするをみて其大概たいがいをしるべし。
こゝに於て吾人は知る、人間世に処するの途は、現在に希望を置くと、未来に希望を置くとの二岐に分るゝあるのみ。
頑執妄排の弊 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
さつせずしてこれふ、いづれも世道せだう執着しうぢやくして、眞相しんさうあやまつなり。く、こゝしるすものはみな事實じじつなりと。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
能くこゝの道理を君かんと宜しく無いて、のような事が有ろうとも僕が斯う遣って此処へ仲来ちゅうらいして、今君だちの困難を発明することは公然たる処を得たりといえど
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
第七番目の釜の地景ちけいこゝするをみて其大概たいがいをしるべし。