“こつち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
此方92.9%
此地2.4%
東京1.8%
是方0.6%
這箇0.6%
此室0.6%
此所0.6%
此處0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこで、感情かんじやうがいしてるなと、此方こつちではおもつてる前方せんぱうが、くだん所謂いはゆる帳場ちやうばなるもの……「貴女あなた、これはつてかれますか。」とつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それがようござんすね、もと/\此地こつちかたでござんすさかいね、どないにか仏さんたちも悦ばれませう。」
念仏の家 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
独身漢ひとりもの/\と言つて貰ふめエよ、是でもチヤンと片時離れず着いてやがつて、お前さん苦労でも、どうぞ東京こつちで車をいてておれ、其れ程人夫になりたくば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『しかし。』と郡視学は言葉をいで、『是方こつちから其を言出しては面白くない。町の方から言出すやうになつて来なければ面白くない。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と見ると——釣竿を忘れずにかついで来た程、其様そんなひどく酔つて居るとも思はれないが、しかし不規則な、覚束ない足許あしもとで、彼方あつちへよろ/\、是方こつちへよろ/\
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
這箇こつちは気が気ぢやないところへ、もう悪漆膠わるしつこくてたまらないから、病気だとつて内へげて来りや、すぐ追懸おつかけて来て、附絡つきまとつてゐるんでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私だつて金属かねで出来た機械ぢやなし、さうさう駆使こきつかはれてお為にばかり成つてゐちや、這箇こつちの身が立ちはしない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女組は一先ひとまづ別室に休息した。富江一人は彼室あつちへ行き此室こつちへ行き、宛然さながら我家の様に振舞つた。お柳はあさつから口喧しく台所を指揮さしづしてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「臺所奉行」なぞと、お駒を呼ぶものがあつて、遂には彼所あつちからも此所こつちからも、「おい臺所奉行」と叫ぶ聲が聞えた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うまいがコロンブスは如何どうだ!』などいふこゑ彼處あつちでも此處こつちでもする。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)