“此市(こゝ)” の例文
雨滴(あまだれ)式の此市(こゝ)の女性が、嚴肅な、赤裸々な、明皙の心の樣な秋の氣に打たれて、『ああ、ああ、今年もハア秋でごあんすなつす——。』
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分は恁(かう)信じたからこそ、此市(こゝ)の名物の長澤屋の豆銀糖でお茶を飮み乍ら、稚ない時から好きであつた伯母さんと昔談(むかしばなし)をする樂みをさへ擲ち去つて、明(あか)からぬ五分心の洋燈(ランプ)の前に
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)