トップ
>
此処
>
こゝ
ふりがな文庫
“
此処
(
こゝ
)” の例文
旧字:
此處
駈出す
気遣
(
きづかい
)
はない、大丈夫だよ、さア姉さん
此処
(
こゝ
)
へお出で…あのおよしや御仏前へ線香を上げてなアもうお線香が立たない様だから
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこの桑の
餉台
(
ちやぶだい
)
の上には、
此処
(
こゝ
)
のやうな真つ白な卓布を照らす、シャンデリアとは
異
(
ちが
)
ふけれど、矢つ張り明るい燈火が
点
(
とも
)
されてあつた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
今
(
いま
)
に
最
(
も
)
う
一人
(
ひとり
)
此処
(
こゝ
)
へ
来
(
き
)
て
寝
(
ね
)
るさうぢやが、お
前様
(
まへさま
)
と
同国
(
どうこく
)
ぢやの、
若狭
(
わかさ
)
の
者
(
もの
)
で
塗物
(
ぬりもの
)
の
旅商人
(
たびあきうど
)
。いや
此
(
こ
)
の
男
(
をとこ
)
なぞは
若
(
わか
)
いが
感心
(
かんしん
)
に
実体
(
じつてい
)
な
好
(
い
)
い
男
(
をとこ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
われは、それより力無く起き上り、本堂下の
窖
(
あなぐら
)
に入りて、男女の屍体を数段に斬り刻み、裏山の雑木林の
彼処
(
かしこ
)
此処
(
こゝ
)
に埋め終りつ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこ
此処
(
こゝ
)
に二三
軒
(
けん
)
今戸焼
(
いまどやき
)
を売る店にわづかな特徴を見るばかり、
何処
(
いづこ
)
の
場末
(
ばすゑ
)
にもよくあるやうな低い
人家
(
じんか
)
つゞきの
横町
(
よこちやう
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
女中の
房
(
ふさ
)
は手早く
燗瓶
(
かんびん
)
を
銅壺
(
どうこ
)
に入れ、食卓の布を
除
(
と
)
つた。そして
更
(
さら
)
に卓上の
食品
(
くひもの
)
を
彼所
(
かしこ
)
此処
(
こゝ
)
と置き直して心配さうに主人の様子をうかがつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其
(
その
)
墓の一つを母親が
指
(
ゆびさ
)
して『これがお前の
父
(
おとつ
)
さんのお墓だよ。
父
(
おとつ
)
さんは
此処
(
こゝ
)
に
居
(
ゐ
)
るんだよ。
成長
(
おほき
)
くなつたら、行つて御覧?』
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
十四歳の少年の自分が中学入学のをり父につれられてY町に出て行く途上で聞いた松の歌が
此処
(
こゝ
)
でも
亦
(
また
)
耳底に呼び起された。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
恭三の家とは非常に懇意にして居たので、
此処
(
こゝ
)
を宿にして毎日荷物を預けて置いて、朝来てはそれを
担
(
にな
)
って売り歩いた。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
『心配しなさんな。
明日
(
あした
)
から
己
(
おれ
)
が書き出す。
此処
(
こゝ
)
へ来てから大分に気分も
佳
(
い
)
いのだから。
月末
(
げつまつ
)
には
何
(
ど
)
うにか成るさ。』
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「待つよ、いくらでも。お側の人が寝てしまうまで。———今夜はお逢い出来るまで
此処
(
こゝ
)
を動かないつもりなんだ」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
田口君に就きて猶言ふべきこと多けれども、そは他日機会を見て
此処
(
こゝ
)
に
掲
(
かゝ
)
ぐべし、乞ふ吾人をして眼を明治文学史の巨人なる福沢諭吉君に転ぜしめよ。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
南さんの方が
真実
(
ほんとう
)
ですね。ねえ南さん、
良人
(
うち
)
がね、
巴里
(
パリイ
)
でね、
此処
(
こゝ
)
へ着いた十日程は若かつたねと云ふのでせう。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ケエツキル山は
彼処
(
あそこ
)
に聳えて、ホトソンの清い流は
此処
(
こゝ
)
に流れて、丘も谷も
何時
(
いつ
)
もの通です。リツプの心は千々に迷うて、何となく悲しく成つて来ました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
たとへば我が
良人
(
をつと
)
、今
此処
(
こゝ
)
に戻らせ給ふとも、我れは恥かしさに
面
(
おもて
)
あかみて
此膝
(
これ
)
なる
文
(
ふみ
)
を
取
(
とり
)
かくすべきか。恥づるは心の
疚
(
や
)
ましければなり、何かは隠くさん。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「森島? それあ気の毒だつたな。
此処
(
こゝ
)
へ通すか」何の先入主も興味もない信徳が、前と同じ調子で云つた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
元来火薬が無かつた訳では無いから、如何に一旦は神妙にしてゐても、
此処
(
こゝ
)
に至つて爆発せずには居ない。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
授業の始まる
迄
(
まで
)
、丑松は最後の監督を為る積りで、あちこち/\と廻つて歩くと、
彼処
(
あそこ
)
でも瀬川先生、
此処
(
こゝ
)
でも瀬川先生——まあ、生徒の
附纏
(
つきまと
)
ふのは可愛らしいもので
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あはれ、上天も見そなはせ、予は今この一個の貴き音づれを世に
宣
(
の
)
べんが為めに
此処
(
こゝ
)
に立てり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
其上大洞にせよ自分にせよ、
一
(
ひ
)
と
通
(
とほり
)
ならぬ関係があるので、
懇望
(
こんまう
)
されて見ると何分にも
嫌
(
いや
)
と云ふことが言はれないハメのだから、
此処
(
こゝ
)
を
能
(
よ
)
く
呑
(
の
)
み込んで承知して欲しいのだと
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其
(
それ
)
とも
此様
(
こん
)
なのが
実際
(
じつさい
)
に
幸福
(
かうふく
)
なので、
私
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へてゐた
事
(
こと
)
が、
分
(
ぶん
)
に
過
(
す
)
ぎたのかも
知
(
し
)
れぬ。が、これで一
生
(
しやう
)
続
(
つゞ
)
けば
先
(
まづ
)
無事
(
ぶじ
)
だ。
熱
(
あつ
)
くもなく
冷
(
つめた
)
くもなし、
此処
(
こゝ
)
らが
所謂
(
いはゆる
)
平温
(
へいおん
)
なのであらう。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「福島磯……
此処
(
こゝ
)
だす、此処だす。」と忙しいお文は、銀場から白い手を差し出した。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
殊に売子の急がしい哀れげな声は人をして自分の旅中にある寂しさをしみじみと自覚させる。新橋はそれと違ふ。
此処
(
こゝ
)
には調和と云ふよりも寧ろ旧都会と新市街との不可思議な
対照
(
コントラスト
)
がある。
新橋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ジヤルルック君車上より声かけしが、
寤
(
さ
)
めず。車を下りて呼びさまし来る。此は夜をこめてエルサレムより余等の乗る可き馬を
牽
(
ひ
)
き来り
此処
(
こゝ
)
に待てる
馬士
(
まご
)
イブラヒム君とて矢張シリヤ人なり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
吾人は
此処
(
こゝ
)
に於て平民的思想の変遷を詳論せず、唯だ読者の記憶を
請
(
こは
)
んとすることは、斯の如く発達し来りたる平民的思想は、人間の精神が自由を追求する一表象にして、その帰着する処は
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此処
(
こゝ
)
でさん/″\
待
(
ま
)
たせられて、
彼此
(
かれこれ
)
三四十
分
(
ぷん
)
暗黒
(
くらやみ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つた
後
(
のち
)
、
漸
(
やうや
)
く
桟橋
(
さんばし
)
の
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
ることが
出来
(
でき
)
た。
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
したのは
形
(
かた
)
ばかりの
小
(
ちひ
)
さな
手荷物
(
てにもつ
)
で、
大
(
おほ
)
きなトランクは
明朝
(
みやうてう
)
取
(
と
)
りに
来
(
こ
)
いとのことだ。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
「今日などはね、途中で遇はなかつたか? と聞かれたんだが——無論
此処
(
こゝ
)
に来やしなかつたらう、仕方がなしに、えゝ! ツて云ふと、それぢや筍でも掘りに行つたのでせうと云ふんで、おばアさんと二人して籔の奥まで行つて見たんだがね……」
籔のほとり
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
竹「いゝえ、喜六と
私
(
わたくし
)
と二人で
此処
(
こゝ
)
へまいりました積りで、誠に不調法を致しましたと一言申したら宜かろうと存じます、のう喜六」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……
次第
(
しだい
)
に
近
(
ちか
)
く
此処
(
こゝ
)
に
迫
(
せま
)
る
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
、
峯
(
みね
)
と
峯
(
みね
)
との
中
(
なか
)
を
繋
(
つな
)
いで
蒼空
(
あをぞら
)
を
縫
(
ぬ
)
ふ
白
(
しろ
)
い
糸
(
いと
)
の、
遠
(
とほ
)
きは
雲
(
くも
)
、やがて
霞
(
かすみ
)
、
目前
(
まのあたり
)
なるは
陽炎
(
かげらふ
)
である。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此の作者は今年大学を出た
許
(
ばか
)
りであつた。そして単に食ふことの必要上
此処
(
こゝ
)
に入つて匿名で連鎖劇を書いてゐた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
孰
(
いづ
)
れも古い
家屋
(
かをく
)
ばかりで、
此処
(
こゝ
)
らあたりの田舎町の特色がよく出て
居
(
ゐ
)
た。町の中央に、芝居小屋があつて、青い白い
幟
(
のぼり
)
が
幾本
(
いくほん
)
となく風にヒラヒラして
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
それを君がどこまでも
此処
(
こゝ
)
に
居据
(
ゐすわ
)
つて、娘の心を乱すまでは動かぬといふのなら、わたしにも覚悟があるぞ
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
本堂の
廊下
(
らうか
)
には
此処
(
こゝ
)
で
夜明
(
よあか
)
ししたらしい
迂散
(
うさん
)
な男が今だに
幾人
(
いくにん
)
も
腰
(
こし
)
をかけて
居
(
ゐ
)
て、
其
(
そ
)
の中には
垢
(
あか
)
じみた
単衣
(
ひとへ
)
の
三尺帯
(
さんじやくおび
)
を解いて平気で
褌
(
ふんどし
)
をしめ直してゐる
奴
(
やつ
)
もあつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鏡子はお照を新橋から迎へて来て
此処
(
こゝ
)
を歩いて居た時の自分の
其
(
その
)
人に対する感情は純なものであつたなどゝ思ふ。けれど今だとてあの人を悪くは少しも思つて居ない。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
女は
破
(
や
)
れ
窓
(
まど
)
の障子を
開
(
ひ
)
らきて
外面
(
そとも
)
を見わたせば、向ひの
軒
(
のき
)
ばに月のぼりて、
此処
(
こゝ
)
にさし入る影はいと白く、霜や添ひ
来
(
き
)
し身内もふるへて、寒気は
肌
(
はだ
)
に針さすやうなるを
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
読者若し
渠
(
かれ
)
が楠河州を詠じたるの詩を読まば如何に勤王の精神が渠の青年なる脳中に
沸々
(
ふつ/\
)
たるかを見ん。渠をして
此処
(
こゝ
)
に至らしめたるものは何ぞや。嗚呼是れ時勢なるのみ。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
『
従来
(
これまで
)
も片時呑気な
間
(
ま
)
も無かつたのですけれど、まだ大崎でなら永い間土地の人に
馴染
(
なじみ
)
が有りましたから大抵の買物は借りて置けましたが
此処
(
こゝ
)
は何から何迄現金ですもの。』
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
記の
此処
(
こゝ
)
の文が妙に
拗
(
ねぢ
)
れて居るので、清宮秀堅は、将門の妻は殺されたのでは無くて
上総
(
かづさ
)
に
拘
(
とら
)
はれたので、九月十日になつて弟の
謀
(
はかりごと
)
によつて逃帰つたといふ事に読んでゐる。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
並んで足尾の山——
此処
(
こゝ
)
が今日も名高い古河株式会社の足尾銅山だ。産業の名が赤い字で二つ書いてある「銅」と「亜砒酸」。この亜砒酸の三字に、君の神経は思はず戦慄するだらう。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
此
(
この
)
村の名主の家のほか
他所
(
よそ
)
には絶えて在る事無し。
此処
(
こゝ
)
に蒔き置けば、夏の西日を覆ひ、庭の風情ともなるべきぞや。去年の春、
此処
(
こゝ
)
へ迷ひ来給ひし時、見知り給ひしなるべし。毎年の事なり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
此処
(
こゝ
)
に私の一家は可なり贅沢な、然し寂しい生活をした。
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
此処
(
こゝ
)
に
食客
(
いそうろう
)
に参っていて夫婦同様になって居た新吉と云うのは、深見新左衞門の二男、是も
敵
(
かたき
)
同士の因縁で
斯様
(
かよう
)
なる事に相成ります。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鰌
(
どぜう
)
一尾
(
いつぴき
)
獲物
(
えもの
)
は
無
(
な
)
い。
無
(
な
)
いのを
承知
(
しやうち
)
で、
此処
(
こゝ
)
に
四
(
よ
)
ツ
手
(
で
)
を
組
(
く
)
むと
言
(
い
)
ふのは、
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けると
水
(
みづ
)
に
沈
(
しづ
)
めた
網
(
あみ
)
の
中
(
なか
)
へ、
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へない、
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
が
映
(
うつ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
は裏道に
廻
(
まわ
)
つて見た。
此処
(
こゝ
)
はつい
此間
(
このあひだ
)
まで
元
(
もと
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
のあつた
処
(
ところ
)
で、柵などがまだ依然として残つて
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
貧しい
本所
(
ほんじよ
)
の一
区
(
く
)
が
此処
(
こゝ
)
に
尽
(
つ
)
きて
板橋
(
いたばし
)
のかゝつた
川向
(
かはむか
)
うには
野草
(
のぐさ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
土手
(
どて
)
を越して、
亀井戸村
(
かめゐどむら
)
の
畠
(
はたけ
)
と
木立
(
こだち
)
とが美しい田園の
春景色
(
はるげしき
)
をひろげて見せた。
蘿月
(
らげつ
)
は踏み
止
(
とゞま
)
つて
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
だが森島和作の方は少し
異
(
ちが
)
つた径路をとつて、
此処
(
こゝ
)
で野田と落ち合つたのである。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
コヽに廿一年暮らしたのかと思ふと、
怨
(
うら
)
めしい様な、
懐
(
なつか
)
しい様な、何とも言へない気がして胸が張り
割
(
さ
)
ける様でしたの、アヽ
此処
(
こゝ
)
の為めに生れも付かぬ
賤
(
いや
)
しい体になつたのだと思ひついて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
コロンボと過ぎて
新嘉坡
(
しんがぽうる
)
に船の着く前に、恋しい子供達の
音信
(
たより
)
が来て居るかも知れぬと云ふ
望
(
のぞみ
)
に心を引かれたのと一緒で自身のために
此処
(
こゝ
)
迄来て居る身内のあるのを予期して居たからである。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
己
(
おれ
)
は此の八九年間雑誌の為にすつかり
囚
(
とら
)
へられて居たが、雑誌が無く成つて見りや暇が出来たのだから、
是
(
これ
)
からは来客を断つても書く
積
(
つもり
)
だ。
此処
(
こゝ
)
へ来てからの
生活向
(
くらしむき
)
は
己
(
おれ
)
の責任にして置いて呉れ。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
今もし
此処
(
こゝ
)
におはしまして、
例
(
れい
)
の
辱
(
かたじ
)
けなき
御詞
(
おことば
)
の数々、さては恨みに憎くみのそひて
御声
(
おんこゑ
)
あらく、さては
勿躰
(
もつたい
)
なき
御命
(
おいのち
)
いまを限りとの給ふとも、我れはこの
眼
(
め
)
の動かん物か、この胸の騒がんものか。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
“此処”で始まる語句
此処彼処
此処等
此処迄
此処辺