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手荷物
桟橋に
出て
見ると、がらんとした
大桟橋の
上屋の
下に、三つ四つ
卓子を
列べて、
税関の
役人が
蝋燭の
光で
手荷物の
検査をして
居る。
手荷物にして
名のみ
床しき
妻戀坂下同朋町といふ
處に
親子三人雨露を
凌ぐばかりの
家を
借りて
辛く
膝をば
入れたりけり
手ン
手に
喧しく
己が
家号を
呼立てる、
中にも
烈しいのは、
素早く
手荷物を
引手繰つて、へい
有難う
様で、を
喰はす、
頭痛持は
血が
上るほど
耐へ
切れないのが