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てにもつ
と
夫人とも/″\
切に
勸めるので、
元來無遠慮勝の
私は、
然らば
御意の
儘にと、
旅亭の
手荷物は
當家の
馬丁を
取りに
使はし、
此處から
三人打揃つて
出發する
事になつた。
お
糸は月のいゝあの晩に約束した通り、
其の
翌々日に、
其れからは長く
葭町の人たるべく
手荷物を取りに帰つて来たが、
其の時
長吉はまるで別の人のやうにお
糸の
姿の
変つてしまつたのに驚いた。
此処でさん/″\
待たせられて、
彼此三四十
分暗黒の
中に
立つた
後、
漸く
桟橋の
外に
出ることが
出来た。
持ち
出したのは
形ばかりの
小さな
手荷物で、
大きなトランクは
明朝取りに
来いとのことだ。