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手荷物
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てにもつ
桟橋に
出て
見ると、がらんとした
大桟橋の
上屋の
下に、三つ四つ
卓子を
列べて、
税関の
役人が
蝋燭の
光で
手荷物の
検査をして
居る。
手荷物にして
名のみ
床しき
妻戀坂下同朋町といふ
處に
親子三人雨露を
凌ぐばかりの
家を
借りて
辛く
膝をば
入れたりけり
手ン
手に
喧しく
己が
家号を
呼立てる、
中にも
烈しいのは、
素早く
手荷物を
引手繰つて、へい
有難う
様で、を
喰はす、
頭痛持は
血が
上るほど
耐へ
切れないのが
と
夫人とも/″\
切に
勸めるので、
元來無遠慮勝の
私は、
然らば
御意の
儘にと、
旅亭の
手荷物は
當家の
馬丁を
取りに
使はし、
此處から
三人打揃つて
出發する
事になつた。
お
糸は月のいゝあの晩に約束した通り、
其の
翌々日に、
其れからは長く
葭町の人たるべく
手荷物を取りに帰つて来たが、
其の時
長吉はまるで別の人のやうにお
糸の
姿の
変つてしまつたのに驚いた。
此処でさん/″\
待たせられて、
彼此三四十
分暗黒の
中に
立つた
後、
漸く
桟橋の
外に
出ることが
出来た。
持ち
出したのは
形ばかりの
小さな
手荷物で、
大きなトランクは
明朝取りに
来いとのことだ。