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戸々
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こゝ
金銀珠玉巧を
極め、
喬木高樓は
家々に
築き、
花林曲池は
戸々に
穿つ。さるほどに
桃李夏緑にして
竹柏冬青く、
霧芳しく
風薫る。
あの
日の
出づる
邊、
我故國では
今頃は
定めて、
都大路の
繁華なる
處より、
深山の
奧の
杣の
伏屋に
到るまで、
家々戸々に
日の
丸の
國旗を
飜して、
御國の
榮を
祝つて
居る
事であらう。
秩父の雪の
山颪、身を切るばかりにして、
戸々に燃ゆる
夕食の
火影のみぞ、慕はるゝ