“戸前”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とまえ62.5%
とまへ18.8%
こぜん12.5%
かどさき6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そう言い捨てて闇だまりから立ちあがると、のそのそと土蔵の戸前とまえへ近づいて行って錠をはずし、拳でトントンと土扉をたたきながら
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かれつめたいかぜとほ土藏どざう戸前とまへしめつぽいいしうへこしけて、ふるくからいへにあつた江戸名所圖會えどめいしよづゑ江戸砂子えどすなごといふほん物珍ものめづらしさうにながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
余は彼の燈火ともしびの海を渡り来て、この狭く薄暗きこうぢに入り、楼上の木欄おばしまに干したる敷布、襦袢はだぎなどまだ取入れぬ人家、頬髭長き猶太ユダヤ教徒のおきな戸前こぜんたゝずみたる居酒屋、一つのはしごは直ちにたかどのに達し
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それと、戸前かどさきが松原で、ぬきんでた古木もないが、ほどよく、暗くなく、あからさまならず、しっとりと、松葉を敷いて、松毬まつかさまじりにき分けた路も、根をうねって、奥が深い。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)