“顔貌”のいろいろな読み方と例文
旧字:顏貌
読み方割合
かおかたち41.4%
がんぼう24.1%
かおつき6.9%
かお6.9%
かほかたち6.9%
かほ3.4%
かおいろ3.4%
かおだち3.4%
がんばう3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大臣これをあわれみ望みの通り実行させて刀の洗汁を后に飲ましむ。さて生まれた男児名は長摩納、この子顔貌かおかたち殊特で豪貴の人相を具う。
その顔貌がんぼうは接近してる主人たちのとおりに仕上げられる。愚昧ぐまいな者の飼ってる猫は、怜悧な者の飼ってる猫と同じ眼つきではない。
お前はまるで皺だらけな、力の脱け切つた顔貌かおつきをして笑つた。その皺に、みんな一条ひとすじ、何か冷い液体が滲み出るやうな顔貌かおつきをしながら……。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
が、その声がすると、女はきゅうに此方こっちを向いて、びっくりしたような顔貌かおで、いままでよりかずっと早足で歩き出したのです。
ゆめの話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
唯生憎前にも申しました通り、遠い影の中に居りますので、顔貌かほかたちははつきりと分りません。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その顔は時と共にだんだんくつきりと浮き出して、じつと彼に向つて両眼を凝らしてゐる。その顔貌かほには、眉にも眼にも口許にも、何一つ魔法使には見覚えがない。
「お前は眠っている間に大そう顔貌かおいろが変った、まるで別人のようだ。」
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
主人公の顔貌かおだちが能面でもあるかのように上品すぎることと、その胆汁たんじゅうみだしたような黄色い皮膚と、そして三十女の婦人病を思わせるような眼隈めのくまくろずみぐらいなものであった。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
赤彦君は今は仰臥ぎやうぐわしてゐる。さうして、純黄色になつた顔面から、二日前に見たときのやうな縦横無数の皺が全く取れて、そのために沈痛の顔貌がんばうは極く平安な顔貌に変つてゐる。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)