“かおかたち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
顔容47.7%
顔貌13.6%
容貌11.4%
顔形8.0%
容姿3.4%
2.3%
貌容2.3%
風貌2.3%
貌形1.1%
容相1.1%
形相1.1%
面容1.1%
面貌1.1%
顔相1.1%
顔色容貌1.1%
顔貌風姿1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こうして、かの尼に対する村人の信仰がだんだんよみがえって来ると反対に、尼の顔容かおかたちのだんだんにやつれて来るのが目についた。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
顔貌かおかたち……赤痣……揉み上げ……、せい、肉付き……年齢、どこからどこまで寸分の相違もなかったが、ただ眼だけがまったく異っていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
そこに映った自分の容貌かおかたちを見て、何かの記憶をび起そうとした。……しかし、それは何にもならなかった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
服装から顔形かおかたちまで寸分ちがわない、ふたりの老博士が、顔と顔を見あわせて、にらみあいました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
世話にくだけた風俗が、持って生まれた容姿かおかたちをひとしお引き立たせて、まだ店も出してまもないのに、当り矢のお艶といえばもう浅草で知らないものはない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かおかたちに至ってはこれといって書き立てるがものはない。午砲ひるめし時に仲之通に汗牛充棟するサラリーマン面の一種で、馬鹿には見えぬ代り決して優雅にも見えぬせせっこましい人相。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
貌容かおかたちとか、身装みなりとか、うわべのものにつつまれているので、おん身とわしとが、べつな者に見えたり、敵に思われたり、憎んだり、ねたんだり、あらゆる愛憎の霧がかかってきて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くれる持って行け。なるほどお前の風貌かおかたちなら、美しい女に恋されもしまい。気の毒だな、同情する。俺はそういう人間へ、充分同情の出来る者だ。恋などするな、恋は苦しい。……さあ遠慮なく金を
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
貌形かおかたちの見えぬことに、ちょっと失望したが、後ろ姿はなかなか立派なもので、頭髪も黒々と厚いのが無造作に束ねられてあった。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
貌形かおかたちで年齢の判断は困難だったが、その言葉の中には若々しいものが満ちていて、横柄だと思えるほど自信ありげな物の言いぶりであった。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
役者のような容相かおかたちにすさまじい殺剣の気とうでを包んでいることは、昼の騒ぎで文次と安がよく知っている。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この声を聞くや否やその少女は直ぐにむっくりはね起きて、青眼先生の顔を一眼チラリと見ましたが、忽ち物凄い形相かおかたちになって——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
彼の面容かおかたちを変らせていやり給う、その子貴くなるも彼はこれを知らず、卑賤いやしくなるもまたこれをさとらざるなり、ただ己みずからその心に痛苦いたみを覚え己みずからその心になげくのみ
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
今夜はこわい晩である。夢に現われた不動尊は、いまだに米友にはその心が読めない。今ここに現われた現実の人は、言葉こそ優しい女人にょにんであれ、その面貌かおかたちは言わん方なき奇怪なものである。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わずか一つの弱音器記号からでも、当の館の人々にさえ顔相かおかたちすら知られていない、故人クロード・ディグスビイの驚くべき心理をさらけ出したのであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
文「貴様は女の美いのばかりめているが、顔色容貌かおかたちばかりではない、親に孝行をすると云う心掛がいなア」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お政は菊細工にははなはだ冷淡なもので、唯「綺麗だことネー」ト云ッてツラリと見亘みわたすのみ。さして眼をめる様子もないが、その代りお勢と同年配頃の娘に逢えば、叮嚀ていねいにその顔貌風姿かおかたち研窮けんきゅうする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)