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かおかたち
ふりがな文庫
“
顔容
(
かおかたち
)” の例文
旧字:
顏容
葉子の郷里から上京して来たお八重は
顔容
(
かおかたち
)
もよく
調
(
ととの
)
って、ふくよかな肉体もほどよく
均齊
(
きんせい
)
の取れた、まだ十八の
素朴
(
そぼく
)
な娘だったので
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こうして、かの尼に対する村人の信仰がだんだんよみがえって来ると反対に、尼の
顔容
(
かおかたち
)
のだんだんにやつれて来るのが目についた。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分の持病の発作が
顔容
(
かおかたち
)
を変えはしないかと訊ねたことは、わざとバーグレーヴ夫人に自分の発作のことを思い出させるためと
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
顔容
(
かおかたち
)
は夜目、ことには、頭巾眼深——ちょいとハッキリしないのだが、この
艶姿
(
あですがた
)
から割り出すと、さもあでやかだろうとしか考えられない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「姿や
顔容
(
かおかたち
)
は、拙者よりはかえってそちらの方がおくわしいはずじゃ。では、今日はほかに急ぎの私用もござれば、これにて失礼いたします」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
物腰の静かさもそうなら一人が
咳
(
せき
)
をすれば、間を置いてまた一人がそれを
遣
(
や
)
っていた、
顔容
(
かおかたち
)
もこれほど似た人は多くあるまいと思われるくらい
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と、心を空にその年寄りだという娘の子の一人ある男の
顔容
(
かおかたち
)
などをいろいろに空想しながら、やたらに道を歩いていった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
薄闇の中とはいえ、接近しているので
顔容
(
かおかたち
)
が分らぬ程ではない。彼は怪物の顔を見た。はっきりとその素顔を見たのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その容貌はなかなか美しいのも沢山ある。少し色は黒いけれどもまず日本の婦人とほとんど同じような
顔容
(
かおかたち
)
をして居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
鼻の穴が片方はほとんど塞がっており、鼻筋は全く平らに押しつぶされていた。女としてそういう
顔容
(
かおかたち
)
になった以上、まず嫁入りは六かしいはずである。
私の母
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
冬子は、お光に会うときはいつも快げに微笑んでいたが、春風楼へ来ると唇をかたく結んで静かにやや陰鬱に
顔容
(
かおかたち
)
を乱さなかった。口もあまり利かない。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
忽
(
たちま
)
ち
穉子
(
おさなご
)
の笑う声がしたので、わたくしは振り向いて見た。
顔容
(
かおかたち
)
の美くしい女が子を抱いてたたずんで、わたくしの墓表の文字を読んで歩くのを見ていた。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今ではなんとか名前を変え、
顔容
(
かおかたち
)
まで変えているんでしょう。浪五郎は正直者で、海賊なんかする人じゃありませんが、お上に
睨
(
にら
)
まれていては手も足も出ません
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そしてまもなく、
泳
(
およ
)
いだり、
潜
(
くぐ
)
ったり
出来
(
でき
)
る
様
(
よう
)
な
水
(
みず
)
の
辺
(
あた
)
りに
来
(
き
)
ましたが、その
醜
(
みにく
)
い
顔容
(
かおかたち
)
のために
相変
(
あいか
)
らず、
他
(
ほか
)
の
者達
(
ものたち
)
から
邪魔
(
じゃま
)
にされ、はねつけられてしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
顔容
(
かおかたち
)
に似ぬその志の堅固さよ。ただお
伽
(
とぎ
)
めいた事のみ語って、自からその
愚
(
おろか
)
さを恥じて、客僧、御身にも話すまいが、や、この方実は、もそっと
手酷
(
てひど
)
い
試
(
こころみ
)
をやった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若し
顔容
(
かおかたち
)
の好し悪しほど筋に相違があったら、世上に芸事をやる有象無象がこんなに多い筈はない。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それからもう一つ、これは今少し新しく出来たものらしいが、
宝手拭
(
たからてぬぐい
)
という話がある。むかし心の美しい、
顔容
(
かおかたち
)
の至って見にくい娘があって、
長者
(
ちょうじゃ
)
の家に奉公をしていた。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
色変わりの羽織を着た今松が、最前はこちらが目を伏せていたので気がつかなかった、すっかり尾鰭のついた
顔容
(
かおかたち
)
で、しばらくして宿屋の敷居越しにいんぎんに手をついた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
あみだ上りはみなつづら笠、どれが
様
(
さま
)
やら
主
(
ぬし
)
じゃやら——この文珠屋も、
葛籠笠
(
つづらがさ
)
をかぶっていたから、あの時は
顔容
(
かおかたち
)
は見えなかったが、こうして素面に日光を受けたところは——。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お兄様と私とによって
顔容
(
かおかたち
)
を入れ違えたままに遂げられなければならぬ運命が一刻一刻とさし迫って来ておりますことを、私は毎日毎日ハッキリと感ずるようになって参りました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
少女は十二三歳ぐらいで、色の蒼白い清らかな
顔容
(
かおかたち
)
であった。白地に
鱗
(
うろこ
)
を染め出した新らしい
単衣
(
ひとえ
)
を着て、水色のような帯を結んでいた。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そう思うと、お前の
顔容
(
かおかたち
)
から、不断よく着ていたあの赤っぽい
銘仙
(
めいせん
)
の
格子縞
(
こうしじま
)
の羽織を着た姿がちらりと眼に浮んだ。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
外
(
ほか
)
のネパールとかあるいはブータンとかの種族はこれほどに清潔でない。そうしてその
顔容
(
かおかたち
)
及び色の白さ加減はまた日本人の
肺病患者
(
はいびょうやみ
)
によう似て居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あんな娘があるものじゃございません。少しばかり
顔容
(
かおかたち
)
がよかったので、男から何とか言われるのが嬉しかったのでしょう。四方屋の家風は昔から堅いので評判を
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
少禿天窓
(
すこはげあたま
)
てらてらと、色づきの
好
(
い
)
い
顔容
(
かおかたち
)
、年配は五十五六、
結城
(
ゆうき
)
の
襲衣
(
かさね
)
に八反の
平絎
(
ひらぐけ
)
、
棒縞
(
ぼうじま
)
の
綿入半纏
(
わたいればんてん
)
をぞろりと羽織って、
白縮緬
(
しろちりめん
)
の襟巻をした、この旦那と呼ばれたのは
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胴の長い
痩
(
や
)
せぽッちなその骨格と、狭い額際との父親そっくりであるほか、この子が母親の父方の
顔容
(
かおかたち
)
を受け継いでいることは、笹村にとってかえって一種の安易であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「待たれい。——覆面なれば、
顔容
(
かおかたち
)
もよく分らぬはず。殊に、それはすべて夜陰ではないか」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綾部近く福知山近く始終ヌッと大きな入道雲に似た無気味な
顔容
(
かおかたち
)
を見せていたが、この山の中腹辺りから、真っ黒な雲がムクムク湧き出しては、日になんべんか大夕立を降らせた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
顔容
(
かおかたち
)
も達三君よりも締まっていた。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
昨夜お召しに因って王君の前に出ますと、その
顔容
(
かおかたち
)
が二十七年前に殺したかの少年をその
儘
(
まま
)
であるので、わたくしも実におどろきました。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一と口
挨拶
(
あいさつ
)
をした後は黙って
座
(
すわ
)
っているその
顔容
(
かおかたち
)
から
姿態
(
すがた
)
をややしばらくじいっと
瞻
(
みまも
)
っていたが柳沢がどうもせぬ前とどこにも変ったところは見えない。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
しかしどっちにしろ、
顔容
(
かおかたち
)
は
判然
(
はっきり
)
今も覚えている。
一日
(
あるひ
)
、その母親の手から、
娘
(
むすめ
)
が、お前さんに、と云って、
縮緬
(
ちりめん
)
の
寄切
(
よせぎれ
)
で
拵
(
こしら
)
えた、
迷子札
(
まいごふだ
)
につける
腰巾着
(
こしぎんちゃく
)
を
一個
(
ひとつ
)
くれたんです。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅から帰ってからの鶴さんに、始終こってり
作
(
づくり
)
の
顔容
(
かおかたち
)
を見せることを怠らずにいたお島の鏡台には、何の考慮もなしに
自暴
(
やけ
)
に費さるる化粧品の
瓶
(
びん
)
が、不断に取出されてあった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
凝視
(
ぎょうし
)
をもって両方からはさみ撃ちに迫った万太郎主従は、彼の黒頭巾が隠している星のような二つの瞳と、その
仄白
(
ほのじろ
)
い
顔容
(
かおかたち
)
と、その黒い曲線とで、すぐにも思い当ったでしょう。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次はチラリと見ただけですが、成程そう言えば、満更の乞食では無いらしく、
身扮
(
みなり
)
も自堕落ではあったにしても、そんなにひどいものでは無く、
顔容
(
かおかたち
)
も尋常、身体なども逞しくさえ見えたのです。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この貴族僧侶はその
顔容
(
かおかたち
)
まで
一粒選
(
ひとつぶえ
)
りの
綺麗揃
(
きれいぞろ
)
いで、その生活の有様は実にチベット国における僧侶中の最高等のものである。またこれまで法王の台所へモンゴリヤから上げた金銀は少なからんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「そうですかなあ……なるほどそういえば、
顔容
(
かおかたち
)
にどこといって一つ似たところはないのですが」
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
路ばたに一軒の新しい
草葺
(
くさぶ
)
きの家があって、ひとりの女が
門
(
かど
)
に立っていた。女は十六、七で、ここらには珍しい上品な
顔容
(
かおかたち
)
で、着物も鮮麗である。彼女は周に声をかけた。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
母親はやがて、
繻子
(
しゅす
)
の帯を、前結びにして、
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を持つて
顕
(
あらわ
)
れた。お辻の大柄な背のすらりとしたのとは違ひ、
丈
(
たけ
)
も至つて低く、
顔容
(
かおかたち
)
も
小造
(
こづくり
)
な人で、髪も小さく
結
(
ゆ
)
つて居た。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
髪の毛を撫で、鏡をとって、
顔容
(
かおかたち
)
をただして来たようであった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時々ふっと二人の
顔容
(
かおかたち
)
から態度などを見比べて、どうも似ていない、娘には自分もこれほど心から深く愛着していながら、これがその母親かと思うと、さすがに思い込んだ恋も
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
四人の女のうちでは、児島亀江というのが一番つつましやかで、
顔容
(
かおかたち
)
もすぐれていた。
五色蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この会場に
入
(
い
)
るものは、位ある
有髯
(
ゆうぜん
)
男子も脱帽して恭敬の意を表せざるべからざるに、
渠
(
かれ
)
は何者、
肩掛
(
ショオル
)
を
被
(
かつ
)
ぎ、頭巾目深に面を包みて、
顔容
(
かおかたち
)
は見えざれども、目は
冷
(
ひやや
)
かに人を射て
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そう云えば何となく、
顔容
(
かおかたち
)
も柔和での、石の地蔵尊に似てござるお人じゃそうなげな。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不思議に思って近寄って窺うと、岩穴の奥には怪しい女が棲んでいた。十年
前
(
ぜん
)
に比べると、
顔容
(
かおかたち
)
は
著
(
いちじ
)
るしく
窶
(
やつ
)
れ果てたが、紛う方なき
彼
(
か
)
のお杉で、
加之
(
しか
)
も一人の赤児を抱いていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
渋紙した顔に
黒痘痕
(
くろあばた
)
、
塵
(
ちり
)
を飛ばしたようで、
尖
(
とん
)
がった目の光、髪はげ、眉薄く、頬骨の張った、その
顔容
(
かおかたち
)
を見ないでも、夜露ばかり雨のないのに、その高足駄の音で分る、本田
摂理
(
せつり
)
と申す
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎日来るので、亭主もこの女の年頃や
顔容
(
かおかたち
)
をよく知つてゐた。
彼女
(
かれ
)
は
廿二三
(
にじゅうにさん
)
ぐらゐの
痩形
(
やせがた
)
の女で、眉を剃つてゐる細い顔は上品にみえた。どう考へても、こゝらの百姓や町人の女房ではない。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
顔容
(
かおかたち
)
勝
(
すぐ
)
れて清らかな少年で、
土間
(
どま
)
へ
草鞋穿
(
わらじばき
)
の
脚
(
あし
)
を投げて、英国政府が王冠章の
刻印
(
ごくいん
)
打つたる、ポネヒル二連発銃の、銃身は月の如く、
銃孔
(
じゅうこう
)
は星の如きを、
斜
(
ななめ
)
に
古畳
(
ふるだたみ
)
の上に
差置
(
さしお
)
いたが、
恁
(
こ
)
う聞く
中
(
うち
)
に
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
悪左衛門をはじめ
夥間
(
なかま
)
一統、すなわちその人間の瞬く間を世界とする——瞬くという一秒時には、日輪の光によって、
御身
(
おみ
)
等が
顔容
(
かおかたち
)
、衣服の
一切
(
すべて
)
、
睫毛
(
まつげ
)
までも写し取らせて、御身等その生命の終る後
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔容
(
かおかたち
)
に年を取らず、
些
(
ちっ
)
とも変らず、
同一
(
おなじ
)
である。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
“顔”で始まる語句
顔
顔色
顔馴染
顔付
顔貌
顔立
顔面
顔触
顔料
顔回